クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

外来オペラ公演問題

ボローニャ市立歌劇場の2019年6月来日公演概要が発表された。演目は「リゴレット」と「セヴィリアの理髪師」だそうだ。
主な出演歌手も同時に発表され、A・シラグーサ、D・ランカトーレ、R・デ・カンディア、A・ガザーレなど、日本でもお馴染みの歌手の名が連なっている。あえて日本用にお馴染みの歌手を揃えたのか??
いずれにしても、オペラファンにとっては楽しみな行事になるかもしれない。
 
だが、私は不満がある。
 
なぜ音楽監督が同行しない? なぜミケーレ・マリオッティが来ない?
なぜ??
私に言わせれば、まったくもって不完全、不十分。
 
元来、引っ越し公演は、鑑賞のチャンスをいただく我が国だけでなく、劇場にとっても重要なイベントなはずである。
知名度を上げるチャンスである。演奏家の略歴と同じように、劇場の歴史に刻まれ、実績になる。文化親善大使の役割をも担う。もちろん、外貨を稼ぐことが出来る。
劇場に関わるすべての人にとって大きなモチベーションとなり、成功させるために最大級の力を入れるはずなのだ。
 
招聘する日本側としても、そうした重要性を十分に踏まえ、「どのような演目にするか」「指揮者をどうするか」「契約する歌手をどうするか」について、真剣に劇場側と調整する必要がある。
 
これまで数々の一流劇場を招聘してきた日本舞台芸術振興会「NBS」は、そこらへんことをしっかりわきまえていて、調整とマネージメントに抜かりがない。いつもチケット代がやたらと高額になるのがやや難だが、少なくとも信頼性は高い。
 
今回のボローニャ招聘エージェント会社、その点においてまったく疑問だ。適当にお茶を濁しているとしか思えない。「こっちはこの程度しかできませんので、すみませんけど、その範囲で適当によろしく」的にやっているとしか思えない。
 
「何を言うか、そんなことはないっ」と言うのなら、じゃあなぜ音楽監督を連れてこられなかったのか、説明してもらおうじゃないか。どのように演目が決まったのか、説明してもらおうじゃないか。
マリオッティはボローニャ市立歌劇場のシェフであり、「顔」なんだぜ?
 
演目も、ボローニャ側の意向であるとは到底思えない。
もちろん先方の言いなりで決める必要はないだろう。チケットが売れなければ元も子もない。招聘会社の死活問題に関わるため、ある程度ポピュラーな作品になってしまうのは仕方がないことだと私も理解する。
 
それでも、ボローニャ市立歌劇場の実力が発揮され、名声、真価を高められるような演目を真剣に選んでほしいと思う。それは、招聘する劇場に対する礼儀であり、敬意に他ならない。
 
・・と不満を述べてきたが、実はその一方で、我々鑑賞側にも看過できない重要な問題が突きつけられている。
チケット代である。
9月に来日公演を行ったNBS主催のローマ歌劇場は、S席が54,000円だった。
今回のボローニャは、S席が34,000円。2万円も違うのだ。
 
我々にとって、果たしてどちらが良い事なのだろう。
音楽監督がやってきて、威信をかけた本格的で意欲的なプログラムで、で「高い」のがいいのか。
それとも、エコノミーで大衆向けだけど、外来公演を身近に楽しめる方がいいのか。
 
いったいどっちなのだ!?
私なんかは「いいもんね、別に。だったら向こうに観に行くからいいもんね。」とふんぞり返るが、そうじゃない人が多数派だろう。
そういう皆さんはどう思っているのだろうか?