クラシック、オペラの粋を極める!

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2018/6/19 読響

2018年6月19日   読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮  コルネリウス・マイスター
R・シュトラウス   ドン・キホーテ、「カプリッチョ」より前奏曲と月光の音楽、「影のない女」による交響的幻想曲
 
 
前半のドン・キホーテが素晴らしい演奏だった。指揮者マイスターが作り出す音楽が非常に描写的で、物語的だった。
実際この交響詩は、中世スペインの小説の物語を素に作られているのだから、描写的・物語的であるのは、ある意味当然。それを描写的な音楽を作ることにかけて天下一品、並ぶ者無しのシュトラウスが作曲しているのだから、なおさらだろう。
 
しかし、描写的な作品だからといって、音を鳴らせばそのままストレートに描写的な音楽になるかといえば、そんな簡単なものではないと思う。指揮者がしっかりとストーリーを描き、そういう音楽を作っているから、そのように聞こえるのだ。
 
具体的には、ソロ(チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリン)や各パートの輪郭をきちんと整え、複雑なスコアを整理整頓して全体の響きの明晰化を図っている。それによってキャラクターが際立つのだ。
 
下手くそな指揮者がシュトラウスを演奏すると、ごちゃごちゃして耳障りになることが多い。そうした問題が見当たらないのも、この指揮者の非凡さが見受けられるというものだ。
 
ソロを担当したチェロの石坂団十郎氏、ヴィオラの柳瀬省太氏もグッジョブ。特にチェロはコンチェルト風ではなく、物語の登場人物に扮したようなヒューマンな演奏だった。これも指揮者とのコミュニケーションの成果のような気がする。
 
さてメインの影のない女であるが・・うーん、かなり複雑な気分。
 
私にとって影のない女は、唯一無二の究極作品。一番好きなオペラと断言するほどだ。
今回演奏されたのは、交響的幻想曲などと名付けられているが、要するにオペラの管弦楽抜粋版。20分程度にダイジェスト化され、断片化され、ツギハギにされ、しかも肝心の歌を欠く。
 
オペラ作品の管弦楽抜粋曲というのは、「ばらの騎士」「指環」など他にもいくつかあるが、私にとってもっとも大切な「影のない女」となると、単なる違和感でしかない。歌無しのダイジェストではこの作品の魅力を引き出すことなど不可能だということが改めてよーく分かった。やれやれ。