クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

深作健太

来月に催される二期会公演「ローエングリン」を演出する深作健太氏の講演を聞きに行った。(二期会プレ・マチネ。出演歌手のお話と歌付き。)
 
映画監督であり、舞台演出家であり、脚本家。有名な映画監督の息子。
オペラの演出は、今度のローエングリンでまだ二回目。
経歴だけで見るのなら、本人の肩書に「オペラ演出家」を加えるのはまだ尚早かもしれないし、彼のことをよく知らないオペラファンからすれば、「お手並み拝見」、「どれだけのもんじゃい?」みたいな感じかもしれない。
 
だが、彼が初めて手掛けたオペラ演出、三年前の「ダナエの愛」を鑑賞した人なら、次の意見に大方賛同するだろう。
「見事な演出だった。お手並みはしかと拝見した。オペラ演出家としての才は十分に発揮された。」と。
私なんか、これを観て「日本のオペラ演出界に天才が出現した!」と、思い切りオーバーに持ち上げたものだ。だから今回は、待望の再起用と確信する。
 
当のご本人は謙遜してこう語る。
「大好きなオペラ、大好きなワーグナー作品を演出させてもらえるだけで、光栄。」
「楽譜を読み解けないので、歌手の方々にひたすら教えを乞うている。」
「大好きな歌手を前に注文だなんて、そんなとんでもない。何も言うことはありません。」
 
だが、語る内容の節々に、音楽に対する愛情、音楽家への尊敬の念、偉大な作品を演出できる喜びがほとばしる。語り口は、熱い。
それだけではない。
作曲された時代や背景、ワーグナーやその作品に関わる人物、その後辿りゆく歴史と運命、これらについて深く追求している形跡が十分に伺える。
「楽譜を読み解けない」なんて言いながら、スコアから見えてくる音楽の流れや必然性、あるいは疑問を、歌手や指揮者に率直にぶつける潔さも持ち合わせている。
「スコアから何が見えるのか」「作品は何を語っているのか」を自らの解釈にしっかり落とし込み、そのうえで、信念を持って「読替演出」にチャレンジしようとしている。
 
その心意気、勇気あるアプローチを、オペラファンとして心から歓迎したい。
 
深作健太氏によるローエングリンが素晴らしい舞台になることを祈る。
深作健太氏の肩書に「オペラ演出家」が堂々と加わり、やがて世界でも活躍するような演出家に成長していくことを祈る。
 
期待してますぜ!!