2017年12月9日 ウィーン国立歌劇場
ベルク ルル(ツェルハ補筆三幕版)
指揮 インゴ・メッツマッハー
演出 ヴィリー・デッカー
アグネタ・アイヒェンホルツ(ルル)、アンゲラ・デノケ(ゲシュヴィッツ伯爵令嬢)、ボー・スコウフス(シェーン博士、切り裂きジャック)、ヘルベルト・リッペルト(アルヴァ)、ヨルク・シュナイダー(画家)、ヴォルフガング・バンクル(シゴルヒ、力技師、猛獣使い) 他
プレミエということでかなり期待したのだが・・・。うーーん・・イマイチ。
物足りなさを感じた最大の原因は、タイトルロールの歌手にある。
アイヒェンホルツ、初めて聴いたが、なんつうか普通なのだ。
ルルは、普通じゃアカン。
抗えない魅力に引き寄せられた挙句、非業の死を迎える連中について、何とも思わずにその死体を踏んづけながら飛び越え、生き抜いていく魔性の女である。
だから普通じゃだめなのだ。強烈なオーラ、匂い、フェロモンを漂わせないと。
それがアイヒェンホルツにはない。
もちろん、難解な音楽を歌わなければならず、ただ演技をすればいい女優とはわけが違う。理解を示してあげなければかわいそうという部分もある。
でも、ルル役を得意とするM・ペーターゼン、L・アイキン、P・プティボンらは、皆非常に上手い。歌と演技を両立させていた。
アイヒェンホルツも、この役を重ねて歌っていくにつれて、徐々に完成されていくのだろうか。
メッツマッハーのタクトも、なんだか安全運転しているように感じる。
以前にハンブルクで聴いた時は、もっと尖っていた気がしたが、気のせいなのかなー。
孤軍奮闘、一際目立っていたのが、デノケのゲシュヴィッツ。彼女だけが不気味でヤバくて異様な世界のど真ん中にいた。やっぱり役者が違う!
来年2月、ハンブルクでもう一度ルルを観る予定。
こちらのルルは、バーバラ・ハンニガン。大丈夫、間違いないだろう。
プロダクションとしても、OPERN WELTにて最優秀上演に選出された。期待できそうだ。