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2009/4/26 リヨン歌劇場

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2009年4月26日 リヨン歌劇場
アルバン・ベルク ルル ツェルハ補訂3幕版
指揮 大野和士
演出 ペーター・シュタイン
ローラ・アイキン(ルル)、ヘドヴィク・ファスベンダー(ゲシュヴィッツ)、ステファン・ウェスト(シェーン博士)、トーマス・ピフカ(アルヴァ)、ロマン・サドニック(画家)、パウル・ゲイ(アスリート)、フランツ・マツーラ(シゴルヒ)他


 リヨン歌劇場。伝統のある名門であるが、ドメスチックに固執することなく、これまでもK・ナガノ(米)、J・E・ガーディナー(英)、I・フィッシャー(ハンガリー)などの外国人音楽監督を招聘してきた。そのせいか、プロダクションは意欲的なラインナップで、特にナガノ氏の時代にはレコーディングも積極的に行い、いくつかの名盤も生まれている。

 旺盛なチャレンジ精神で現代物や未発掘の名作を積極果敢に採り上げようとする日本の俊英、大野和士がここリヨンに迎え入れられたのはこうした経緯と土壌による。

 その大野さんの指揮はいつもながら大局が捉えられていて、音楽全体の方向性がびしっと定まっている。タクトさばきは切れ味鋭く、指示も実に明快。まさに自信がみなぎっている。ルルは本当に超難解な音楽で、演奏はさぞかし大変だと思うが、これだけはっきりとした進行整理をしてくれたら、歌手もオケも安心だろう。

 演出はドイツの大御所ペーター・シュタイン。もう結構な年だと思う。いまだ現役だったのね。驚きました。
 出演者は舞台を所狭しと飛び跳ねるように動き回り、その生き生きと躍動する演技が実に新鮮で素晴らしい。

 そんな中でもピカイチの演技で、観客の視線を独り占めにしたのが主役のルルを演じたローラ・アイキン。色気があって、ルルそのもの。完全に役になりきっている。もちろん難しい音楽も完璧に掌握されている。
 チューリッヒ歌劇場のルルの映像を見てアイキンに魅せられた私は、リヨンのルルの役が当初発表された別の人からアイキンに変わったニュースを知って狂喜乱舞した。その期待に見事に答えてくれたアイキンに、私はカーテンコールで最後の最後まで拍手を送り続けた。

最後に、進境著しい日本のある指揮者(まだ若いが、既に実績十分の実力を持つ中堅と言っていいでしょう)がこの日のルルをご覧になっていたことを報告しておく。最初は大野さんとの親好ではるばるリヨンに駆けつけたのかと思ったが、どうやら今後の彼のスケジュールにこの難曲が控えているみたいですね。今回の公演で何かをつかんだかな??