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2017/11/26 読響

2017年11月26日  読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮  シルヴァン・カンブルラン
合唱  新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
エメーケ・バラート(天使)、ヴァンサン・ル・テクシエ(聖フランチェスコ     
 
 
あちこちで絶賛の嵐となっている。プロの評論家だけでなく、普通のリスナーがどいつもこいつも「素晴らしかった!!」と、興奮気味に口を揃えている。
 
「ふっ。まあそうなんだろうな。」と思う・・・。
 
なんだかいかにも冷やかでシニカルなこの言い方。
我ながら嫌な感じだとも思うのだが、何でこんな言葉しか出てこないかというと、要するにこうなることが最初から分かっていたからだ。
 
日本初演。超大作。空前規模の編成。未曾有の音響感覚・・・。
カンブルラン&読響だからこそ成し遂げられた偉業。今回が千載一遇のチャンス。そしておそらく、我々はもう二度と聴くことができない・・・。
 
前代未聞で僅有絶無な希少体験をした興奮。
「初!」であるが故の喜び。

結局これこそが皆の「素晴らしかった!」の大元なのだ。
 
「そうじゃねえ」と言う人に、じゃあ聞こうじゃないか。
この作品、ポピュラーだと思う??
なぜこれだけ絶賛の嵐なのに、皆が「素晴らしい」「感動した」と称賛するのに、この作品は頻繁に演奏されないと思う?? 
技術的にあるいは予算的に難しいからか?
 
分かった。仮に上演の困難性を認めたとしよう。
じゃあ、なぜこれまでに録音されたCDやDVDが世に出回らないのか?
今回の公演まで、この作品のことをどれだけの人が知っていた?? あなた知ってた??
会場に駆けつけた人のうち、あらかじめ音楽を熟知していた人が何人いた??
 
ね。つまりそういうことだ。
結局は「前代未聞で僅有絶無な希少体験をした喜びと興奮」なわけよ。
それは、純粋なる音楽の素晴らしさ、演奏の素晴らしさ、とは一線を画すものだと思う。
反論する人もいるだろうが、少なくともオレはそう思う。故に私は眉をひそめる。
 
正直言って、読響の演奏水準は立派だった。カンブルランの統率力もさすがだった。
 
だからといって、私は諸手を挙げて絶賛できない。そもそも、これまでに聴く機会がまったくなく、これからも聴く機会が得られないような作品を私は支持することができない。
「オレはこの珍しい作品を聴いたんだぜ!日本初演という貴重な機会に立ち会ったんだぜ!」みたいな自慢にも聞こえる感想を、私は信用することが出来ない。