指揮 ファビオ・ルイージ
一つ一つの音の作り方が繊細かつクリア。全体のボリューム(音量)はそれほどデカくないのに、構成がしっかりしているので、堅固でがっしりした音が飛んでくる。響きは引き締まっていて余計な贅肉は付いていないのに、味付けは鮮やかなほどに整っている。
’仕上げてきた’サウンドだと思った。丁寧できめ細やかで、妥協を排した徹底的なリハーサルが裏で行われてきた感じだ。
今回の英雄の生涯で初稿版を使用したとのことであるが、私は初めて聴いた。しかも、予め宣伝告知やプログラムを読んでいなかったので、静かな終わり方にびっくりした。こんな初稿版があったことさえ知らなかった。
2009年にルイージはシュターツカペレ・ドレスデンと来日公演を行い、その時に英雄の生涯を演奏しているが、どうやらその時も初稿版を用いたらしい。(この時私は別のプログラムの日に行ったので、聴き逃した。)
なぜかというと、確かにラストの部分だけはそうかもしれないが、それ以外は「静かに見つめて振り返る」どころか、「まだまだ血気盛ん」「やる気満々」プンプンの演奏をしているからだ。
まあそれはそれでいいでしょう。
読響の演奏がこれまたいい。反射神経抜群。さすがである。
あちこちから聞こえてくる「首席(?)常任(?)指揮者」招聘への動きの噂。本当だろうか。
実現したら、それは楽しみなことだが、果たして・・・。