指揮 シモーネ・ヤング
ベフゾド・アブドゥライモフ(ピアノ)
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番
オーストラリアンでありながら、長くハンブルク州立歌劇場の音楽監督を務め、ウィーン国立歌劇場でも常連ということで、完全にドイツ物のスペシャリスト。実際、R・シュトラウスのオペラを振らせたら、世界でも屈指、少なくとも両手の指くらいの中には入るのではないだろうか。
これがもう、びっくりするくらいの豪華絢爛な演奏だった。弧を描くかのような美しいタクトはいつもどおりだったが、この日はかなり腕に力が入っていて、とにかくオケを鳴らす鳴らす。グイグイ感が半端じゃない。その後ろ姿は、まるで強烈なリーダーシップを発揮して大統領選に臨もうとするアメリカのヒラリーさんのような風格だった。
そんなタクトに読響が100%で応えていたのが、これまたすごい。おそらく読響の演奏能力のMaxではないか。精彩さにおいて比類がなく、かつ煌びやかで燃焼度も高い。
指揮者も力いっぱい、オケも力いっぱい。
いったい主導権を握っていたのは、どっちだったのだろう。
まあ多分どっちというのではなく、お互いの力がぶつかり合い、刺激し合い、昇華されたのだと思う。
ヤングの指揮をコンサートで聴いたのは今回が初めてだったが、こういうパワフルさはちょっと意外ではあったが、十分に面白かった。