2017年5月20日 NHK交響楽団 NHKホール
指揮 ウラディーミル・フェドセーエフ
グリンカ 幻想曲カマリンスカヤ
そのOくんの感想は、「フェドセーエフ、円熟しているね」であった。
そう。おっしゃるとおり。フェドセーエフは円熟している。
高齢だからということもあるが、フェドさんのタクトは動きに無駄がなく、強引さも皆無。リズムなんか刻まない。しなやかに滑らすかのように振る。動きは流麗。すると、たちまちオーケストラがうねりだす。
チャイコの第二楽章は色彩の妙、第三楽章は弱音の美。公演全体を通して抑制が効き、エレガントさが貫かれ、音楽はとことん抒情的だ。
もちろん私は大いに満足したし、感動した。
だというのに私は、一方で昔のフェドセーエフを懐かしんでいる。
ちょっと粗いけど、強靭で、エキゾチックなロシアの艶と香り。
時代が違うんだ。あの頃に戻ることは出来ないんだ。オケだってN響だし。
仕方がないことは分かっているんだけど・・・。
だいたい昔を懐かしむってことは、自分も歳を取っているんだな。