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ローカル出身演奏家の宿命

国内公演1か月ぶり、今年初のコンサート聴き初めN響。昨日のCプロ定期演奏会であった。ファリャ、ロドリーゴなど、スペイン色に染まった異国情緒たっぷりの魅力的なプログラムである。
 
指揮者はスペイン人のファンホ・メナ。配布されたプログラム「フィルハーモニー」をめくると、「今月のマエストロ」の欄で「スペイン人としての使命をになったプログラムをひっさげ、N響と初共演」と紹介されていた。
 
スペイン人としての使命・・・。
そのプログラムにも「スペイン人という理由で、スペインやラテンアメリカのレパートリーを求められるのはある意味宿命なのであろう」と書いてある。まさにそのとおりなのだろうと思う。
 
ローカル出身の演奏家は、ほぼ例外なくそうだ。
フランス人ならラヴェルドビュッシーを求められ、チェコやスロヴァキアならドヴォルザークを求められるが、彼らなんかはむしろまだいい方。フィンランド人の指揮者やヴァイオリニストへの需要はほぼシベリウスに集中するし、ハンガリー人指揮者ならバルトークコダーイデンマーク人指揮者ならニールセン。スペイン人もこれまた然りというわけだ。
 
本当はブラームスとかベートーヴェンとかで勝負したいのではないかい? 本音どうよ?
でも彼らはグッとこらえ、宿命と割り切り、「ハイ、喜んで!」と使命を果たす。それがプロというものなのだ。偉いなあ。
 
この宿命から抜け出す道は一つしかない。
ローカルを超越した、誰もが認めるインターナショナルで本格的な一流演奏家になることだ。
みんな分かっちゃいるが、それがなかなか難しいことも、同様に分かっている。
 
その点、大作曲家がいないイギリス人、アメリカ人はいいねえ。オランダ人とかも。堂々とチャイコを採り上げ、ベルリオーズを採り上げる。ベートーヴェンモーツァルトをやっても、別に違和感がない。
逆に、アメリカ人が「母国の音楽をもっと広めたいので、是非コープランドやらせてちょ!」とか言っても、首席指揮者ならいざしらず、客演だと「あ、結構っす。間に合ってるっす。」とあっさり断られてしまう。いやすまん、勝手な想像だが。
 
そういう意味なら、日本人も同じ部類かもね。邦人作品の需要がないから、堂々とショスタコで勝負できる。果たしていいんだか悪いんだか・・・。
 
さて、話を昨日のN響公演に戻すと、ファリャの三角帽子を指揮していた時のファンホ・メナ、踊るかのように全身でタクトを振り回し、実に生き生きと楽しそうに演奏していた。
 
やっぱり、求められ、仰せつかって、母国の作品を紹介するのは、プロの音楽家として替え難い喜びなのであろうか。
 
2017年1月13日  NHK交響楽団 C定期演奏会   NHKホール
指揮  ファンホ・メナ
カニサレス(ギター)
ファリャ  歌劇はかない人生より間奏曲とスペイン舞曲
ロドリーゴ  アランフェス協奏曲
ドビュッシー  映像よりイベリア
ファリャ  バレエ音楽三角帽子より