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2016/10/15 J・フィッシャー ヴァイオリンリサイタル

2016年10月15日   ユリア・フィッシャー ヴァイオリン・リサイタル   東京オペラシティコンサートホール
ユリア・フィッシャー(ヴァイオリン)、マルティン・ヘルムヒェン(ピアノ)
シューベルト  ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第3番、第1番
ブラームス  ヴァイオリン・ソナタ第3番
 
 
来日公演を首を長くして待っていた。ヴァイオリンとピアノの二刀流奏者、ユリア・フィッシャー。だが、軸足は完全にヴァイオリン。変に二刀流を振りかざして興行的な色合いを前面に出さないのがいい。
 
これまで機会がなく、ようやく聴けたフィッシャーの音色はピュア。脂を削ぎ落とした引き締まった音。過剰な情感を排し、旋律にストレートに没頭する凛とした姿勢に、おもわず「さすが」と唸った。
 
プログラムは前半にドヴォルザークシューベルト、後半にシューベルトブラームスという構成だったが、音楽的にはシューベルトブラームスの間で完全に切り替えられた。アプローチ、奏法、音色がブラームスではまったくの別物となり、演奏者の懐の大きさに改めて驚く。
アンコールで披露した曲も含め、ブラームスの演奏は緻密でありながら堂々としていて、一分の隙きもない。語り口は饒舌。これぞドイツ、これぞブラームスという感じで、感動した。
 
忘れてはならないのは、ピアノのヘルムヒェンだ。彼の演奏は単なるヴァイオリンの伴奏ではなかった。ヴァイオリンとピアノのための音楽で、ピアノの音楽的役割を最大限に果たしていた。名演を生み出したのは、紛れもなくピアニストの力だった。