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2016/9/10 藤原歌劇団 カプレーティ家とモンテッキ家

2016年9月10日  藤原歌劇団   新国立劇場
ベッリーニ  カプレーティ家とモンテッキ家
指揮  山下一史
演出  松本重孝
向野由美子(ロメオ)、高橋薫子(ジュリエッタ)、安東玄人(カペッリオ)、笛田博昭(テバルド)、東原貞彦(ロレンツォ)
 
 
14年前、藤原はロメオにS・ガナッシ、ジュリエッタにM・デヴィーアを迎えてこの作品を上演した。あの時は、ビッグネーム二人の歌声に最初から最後まで痺れっぱなしだった。
そりゃ出来ればいつも毎回豪華な歌手の歌声に酔いたいところだが、なかなかそうもいかない。こうして至高の作品を取り上げてくれるだけでも、十分に満足だ。
 
カプレーティ&モンテッキ、なんという作品!
とにかく音楽が美しい。宝石のようなメロディのオンパレード。大抵のオペラの他愛のない恋愛話に心動かされることなど無いが、このベッリーニの音楽なら私は堂々と泣ける。嗚呼かわいそうなロメオとジュリエット。
この際「敵対し合う相手の家の、しかも実の兄を殺している奴を好きになるわけないじゃんかよ」というヤボなツッコミはやめておこう(笑)。
 
この日の公演では、ジュリエッタの高橋さんが貫禄かつ余裕の佇まい。ロメオの向野さんは熱演。テバルドの笛田さんは大健闘。特に笛田さんは、日本のテノールの薄っぺらい人材の中で、将来の飛躍を予感させるものだった。是非、頑張って欲しい。
 
指揮の山下さん。ベッリーニでは仕方がないのかもしれないが、彼が出来ることといったら、ひたすら歌手に寄り添って邪魔をしないこと。この音楽で何かやろうとすれば「余計なことするんじゃねえ」になるから、その意味で十分だっただろう。
 
演出は、藤原の公演で演出の出来を語ってはどうやらいけないみたいなので、ノーコメント(笑)。
 
終演後、出演した歌手たちが衣装も脱がず化粧も落とさないままで、そのままロビーでお客さんとふれあう時間を作り、談笑したり、記念写真に応じたり、サインをしたりしていたが、これは実に素晴らしいファンサービス。大いに感心した。他の団体も見習ってほしい。