2016年8月7日 ザルツブルク音楽祭
指揮 マルコ・アルミリアート
コンサート形式上演だが、譜面台を用意し楽譜を見ながら歌手は皆無。ステージ前方のスペースを利用し、みな演技をしながら歌う。音楽に集中できる一方、ドラマを感じることも出来て一石二鳥。よく「下手な演出が付くよりよほど良い」という意見を耳にするが、それは確かにそうかもしれない。
最初から最後まで観客の視線を独り占めにしていたのが、やはりというか当然というか、ネトレプコ様であった。
正真正銘のスター。彼女が出演するからプレミアム公演となり、完全ソールドアウトになる。もし出演しなければ、当日券出まくりのフツー公演。上演成功のカギは彼女が握っているが、落っこちずに無事歌うことが決まった時点で、もう結果は出たと言っていい。
演奏が終わって会場を後にするお客さんたちは、この日ネトレプコ以外に誰が出演したのか、あっという間に忘れ去ることになるだろう。そもそも最初からアウト・オブ・眼中の可能性も高い。可哀想なその他の出演者たち(笑)。
あたかも引き立て役に徹していたような指揮者アルミリアートだったが、実は音楽づくりが巧妙。職人指揮者としての本領発揮。しかも暗譜。素晴らしかった。グッジョブ。見るからに人の良さそうな、悪く言えば頼りなさそうな指揮者だが、オーケストラも歌手たちも、もちろんネトレプコ様も100%の信頼を置いていることが十分に見て取れた。
だから、皆さん、せめて指揮者の名前くらいは覚えておきましょうね。
かくいう私も、数年後、「あれ? あの時のマノン・レスコー、誰が振ったんだっけ?」みたいになってしまわないか、超心配・・。