2016年6月7日 クレーメル&ドゥバルグ デュオリサイタル
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)、リュカ・ドゥバルグ(ピアノ)
フランク ヴァイオリン・ソナタ
クレーメルが世界最高のヴァイオリニストの一人だと言われる理由、それは技術や表現力だけでなく、彼独特の世界観、彼にしか出せない音というものを持ち合わせているからだと思う。
それはもうすぐ70歳になろうとしている今も、まったく健在である。
強烈な個性と独創的な演奏スタイル。
伴奏を務めるピアニストはさぞや大変だろう。しかも、今回クレーメルから抜擢されたのは、話題のピアニストとはいえ、はるかに若造だ。
ところが、メインのフランクでは一転して目を見張るような掛け合いを見せたのだから面白い。寄り添ったり、追い掛けたり、ブレンドさせたり。ソロ(主)と伴奏(従)の関係を越え、これぞピアノとヴァイオリンのアンサンブルの妙というのを聴かせてくれた。
ドゥバルグ、随所にキラッと光るものを感じさせる非凡な才能の持ち主だ。評判は伊達ではない。若手にありがちな目立ちたがりアピールは皆無で、ひたすら鍵盤とスコアに向き合っている姿勢がとても良いと思った。