指揮 サイモン・ラトル
2016年5月12日
2016年5月13日
過去のベルリン・フィル来日公演の感想で、私はブログ記事に次のように書き記していた。
(2011年11月22日 マーラー9番)
「ベルリン・フィルはオーケストラ界の巨人である。がたいがデカくて強い。ぶち当たってもびくともせず、跳ね返される。勝てねえなあと思う。向かう所敵なしの最強軍団。」
(2013年11月18日 春の祭典ほか)
スーパー・ヴィルトゥオーゾ軍団のあまりにも上手すぎる演奏に舌を巻きながら、このように形容していたわけだ。
で、今回、私がベートーヴェンの一連の演奏を聴きながら、相変わらずのその上手さに惚れ惚れしつつ、頭の中で「こりゃ、まるで◯◯◯だな・・・」と思い浮かべていた物がある。
◯◯◯に当てはまる物。それはこれだ。
そう。ベンツ。
プレミアム、ハイグレード、ハイクオリティ、エグゼクティブ、ラグジュアリー・・・そんな言葉によって絶賛され、支持される最高級ブランド。
ベンツが世界に冠たるドイツの代名詞なら、ベルリン・フィルもまた、ドイツのかがみなのだろう。
演奏を聴いて特に私が感心したのは、「ベルリン・フィルは進化し続けている」ということだ。
古き良き伝統をただ頑なに守るのではなく、現代におけるクラシック音楽、クラシック演奏の意義を問い、見つめ直しながら、未来志向を追求して、更に発展を遂げようとする姿勢を常に見せているということである。
そういう点が、革新的な技術開発に挑戦し、ニーズに合った先進モデルを登場させるトップブランド自動車会社を想起させた。
指揮者ラトルが、まさにそれを目指しているのだと思う。
彼の音楽解釈そのものについては、ひょっとすると人によって受け取り方が様々かもしれない。
だが、彼の飽くなき進化発展への追求姿勢については、私は深く敬意を示したい。