2016年2月28日 東京フィルハーモニー交響楽団 オーチャードホール
指揮 チョン・ミョンフン
小林愛実(ピアノ)
モーツァルト ピアノ協奏曲第23番
モーツァルトは、チョン・ミョンフン自身のピアノということでとても楽しみにしていた。ピアニストでもある名指揮者の自演は、協奏曲という作品に個性と主張がはっきりと備わる。昨年のウィーン・フィルのエッシェンバッハも、先日のSKBのバレンボイムも、そうだった。この流れに続いてくれたら、さぞや興味深く観賞できただろう。残念。
代役の小林さんは昨年のショパンコンクールで本選まで勝ち抜いた人。日本人最高位ということでも話題になった。
しかし、今こうして聴いてみて、心が揺さぶられるものが何もない。残念ながら、面白くも何もなかった。
ただ、どんなに世界的な由緒あるコンクールで上位入賞を果たしたところで、あくまでも活躍を広げるためのスタート地点に立っただけ。若き才能を軽く見るつもりはないが、実力を備え経験を積んだ真のアーティストの演奏ばかりを日ごろから聴いている自分の耳は、非常に正直だということ。
メインのマラ5。こちらは胸をすくような快演であった。
東京フィル、持てる力をフルに発揮した渾身の演奏である。特に、ホルンとトランペットのソロの見事さには目を見張った。とても上手かったのである!日本人によるホルン演奏はどうも物足りないと思っていただけに、本当に驚いた。たくさんのブラヴォーが飛んでいたが、彼らはそれに値いしたと思う。