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2016/1/22 新日本フィル

指揮  トーマス・ダウスゴー
シベリウス  組曲レンミンカイネン-4つのカレワラ伝説
ニールセン  交響曲第5番
 
 
今月の新日本フィルは、プログラムが意欲的だ。戦争レク、この日の曲、今週はマラ5。
特に戦争レクから本公演にかけての一連は、日常的に演奏されることのない作品ばかりなので、大変だったのではないか。
譜読みからスタートし、単に演奏するだけでなく、指揮者の要求に応えながら、聴衆を満足させ感動させられるレベルにまで完成させていく。たったの一週間で。そういうのをさらりとこなしてしまうのは、「さすがプロだよなあ」とつくづく感心してしまう。
私が学生オケでやっていた時は、曲目が決まってから発表会までひたすら練習すること3か月間だったもんなあ・・・。
アマとプロを比較してもどうしようもないが・・。
 
そういえば元N響ヴァイオリン奏者だった鶴我裕子さんが著書に書いていたエピソードが笑える。
N響のとある地方巡業公演の数か月も前のこと。別用事でその公演が行われる場所に出掛けた際、主催者から「ところで本公演の準備は順調に進んでいますか?」と尋ねられ、思わず閉口してしまった、というものだ。
彼らは、オーケストラにとって一番重要な定期演奏会でもリハーサルはせいぜい3、4日くらい。地方公演なら下手をすると当日のGPだけでリハ終了ということも日常茶飯事だろうからね。主催者がその事実を知ったら、お口ポカーンになっちゃうかな(笑)。
 
さて、話をこの日の公演に戻す。
シベリウスのレンミンカイネン(※)を生で鑑賞するのは初めてだ。組曲の中に有名な「トゥオネラの白鳥」が入っているが、それ以外は一般にはあまり知られておらず、マイナー扱いと言っていい。
だが、シベリウスの創作に多大なインスピレーションを与えた民族叙事詩「カレワラ」が題材となっており、シベリウスの作風を理解する上でも重要な作品だろう。
(※ プログラムの記載には「レンミンケイネン」とあったが、現地語の発音上の問題は別として、日本では「レンミンカイネン」が一般的だと思うし、私も慣れているのでこれで通す。)
 
その点において、指揮者ダウスゴーのタクトは非常にありがたかった。とにかく大きな身振り、全身で音楽を表現するので、とても理解しやすいのである。音楽にどこで何が起きるのか、指揮を見ていれば分かるし、光景が思い浮かぶ。これは素晴らしいことだ。
 
アプローチはニールセンにおいても同様。指揮者の動きが音楽そのもの。大きな身振りがそのままダイナミックさにつながっているし、叙情性も溢れるほど表出されている。全体的な構築性もお見事。
 
これなら、作品をまったく知らずに訪れた多くの聴衆も十分に楽しめたのではないか・・・と思ったら、私の目の前の列に座っていた若い女性二人は、身体が横に倒れるくらいの撃沈爆睡(笑)。
きっとお疲れだったのでしょう。ドンマイドンマイ。