バッハ 3つのコラール前奏曲
ドビュッシー シャルル・ドルレアンの詩による3つの歌
ワイル 小さな三文音楽
いやいや、分かる。日ごろ練習に明け暮れている彼らにとって、世界最高峰のベルリン・フィル奏者たちは憧れの的。それは、野球少年にとってプロ選手が憧れの対象であるのとまったく同じだ。
一流奏者の生演奏を聴くというのは、非常に勉強になる。技術を磨き、より良い演奏を目指すには、正しい見本を見つけ、理想の音のイメージを持つということがとても大事なのだよ。私自身、かつて楽器を演奏していたから、すごくよく分かる。
ただし、「世の中には、こんなに凄い人がいるんだ・・・。こりゃ、どんなに頑張っても到達できない。やっぱり神から授かった天賦の才能にはかなわんな・・・。」と自らの才能を悟ってしまう危険性もある(笑)。
オレもなあ、中学生の頃は「世界一練習すれば、世界一の奏者になれる」と信じ、練習に明け暮れていたもんだぜ。それが「天才にはかなわない」と知ったときゃ、ショックだったぜ。
ま、そうやって人間は現実と向き合いながら成長していくわけさ(笑)。
驚いたことが一つ。
会場で、そんな彼女たちはとても熱心に耳を傾けていた。あまりに熱心で、つい身を乗り出して前屈みになって聴いている人もチラホラいたが、コンサートマナーに気を付けましょうね。
さて、ベルリン・フィルブラスである。
別に今さら言うまでもないのだが、やっぱり圧倒的に上手いのである。そして、純粋に音が綺麗なのである。技術はもちろん高いが、技術を全面に押し出すのではなく、あくまでもアンサンブルとしてのハーモニーを大切にしているのは、やっぱり一流のオケ奏者たちということであろうか。
楽しいひととき、あっという間の二時間だった。ラッパの練習に明け暮れた自分の青春時代を思い出したりして、それもまた楽しかった。
上手いだけじゃなくて、ベルリンの栄光の輝きに包まれ、その姿が眩しかった。