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2015/5/15 N響C定期

2015年5月15日   NHK交響楽団定期演奏会    NHKホール
指揮  エド・デ・ワールト
マレーナ・エルンマン(メゾ・ソプラノ)
ラヴェル  組曲マ・メール・ロワ」、シェヘラザード
ショーソン  愛と海の詩
 
 
 注目は真ん中二つのフランス歌曲を歌ったエルンマン。おそらく日本初登場。
 以前から評判は耳にしていたし、オランダ在住レイネさんが追っかけるほどだし、ついに私も彼女を聴く機会が訪れてとても楽しみにしていた。この公演はソリストがエルンマンじゃなかったら、多分行かなかっただろう。
 
 そのエルンマンが颯爽と舞台に登場。背が高くて気品と風格が感じられる。眩しいくらいのブロンドヘアー。
 
 もっと塊のような厚い響きの歌声かと勝手に想像していたが、爽やかな涼風のような歌唱。おそらくこれはフランス歌曲ということで、発声やニュアンスに工夫を凝らした結果だろう。プロフィールを見ると、彼女はフランスで学んでいた時期がある。
 オーケストラに溶け込むかのような歌で作品そのものを浮かび上がらせたかと思えば、突然ピンと張った声でオーケストラの上を抜けていくこともあり、そこら辺、歌い方が機敏かつ臨機応変。作品を完全に手中に収めているのが瞭然である。
 よりメロディックショーソンの歌曲に魅力を感じたが、次回は是非彼女の得意なバロックロッシーニ、そしてオペラを聴きたいと思った。
 
 この日の指揮者はもともとデーヴィッド・ジンマンだったが、急病により急遽エド・デ・ワールトに変更になった。
 これには思わず笑ってしまった。
 ジンマンはどちらかと言うと職人的で、世界的に見て中堅的な位置にいる指揮者である。で、エド・デ・ワールトも、まさしくそういう指揮者だ。
 指揮者に世界ランクがあるかどうかは知らないが、もしあるとすれば、いや本当に仮の話だが、「ジンマン世界ランク第48位」、「エド・デ・ワールト世界ランク第49位」くらいじゃないか。
 そんな似通った代替指揮者をよくまあ選んで連れてきたものである。変更になったところで何も起こらず、可にも不可にもならない無難な指揮者選定。
 
あ、別に失礼なことを言っているつもりはありません(笑)。気にしないでね。
 
 オランダ人指揮者ワールトのフランス物だが、とてもオーソドックスで、程良く心地よい音楽だった。ドビュッシーの「海」は、やはり第三曲「風と海との対話」が名曲で、この演奏が通常はハイライトになるのだが、この日私が感心したのは第二曲「波の戯れ」。いつもと違う印象をもらえたということで、ワールトさんのお務めは無事に果たされたかと。大変お疲れ様でした。