クラシック、オペラの粋を極める!

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2015/4/18 大阪国際フェスティバル ランスへの旅

2015年4月18日  第53回大阪国際フェスティバル2015   フェスティバルホール
演出  松本重孝
管弦楽  ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
老田裕子(コリンナ)、ターチャ・ジブラーゼ(メリベーア公爵夫人)、イザベラ・ガウディ(フォルヴィル伯爵夫人)、石橋栄実(コルテーゼ夫人)、中川正崇(騎士ベルフィオーレ)、アントン・ロシツキー(リーベンスコフ伯爵)、クラウディオ・レヴァンティーノ(シドニー卿)、伊藤貴之(ドン・プロフォンド)、三浦克次(トロンボノク男爵)、木村孝夫(ドン・アルヴァーロ)    他
 
 
 思わず大阪まで行ってしまいました・・・。
 ロッシーニの神様ゼッダ大師匠が、大好きな「ランスへの旅」一公演のために来日するという情報を知って驚いた。
「なんと贅沢な!こりゃ全力で大阪に駆け付けねば!」
 で、息巻いてチケットを買ったら、なんと7月に今度は東京で藤原歌劇団主催でやるんだとさ。うーーむ・・。
 
 まあ買ってしまったものは仕方がない。大きく違うのは、大阪公演には4人のアッカデミア・ロッシニアーナ(ロッシーニ・オペラ・フェスティバル・アカデミー)出身の外国人キャストが含まれていること。これは東京公演にない魅力だ。
 別に「外国人なので本物っぽそう」とか勘違いしているわけではない。私は知っているのだ。このアカデミーのレベルの高さを。折り紙付き。今はまだ無名かもしれないが、いずれ世界の歌劇場で活躍する可能性を秘めたスター候補生だ。
 それに大阪フェスティバルホール初見参というのもある。ついでにお好み焼き、たこ焼き、串揚げも(笑)。
 
 ところで「大阪国際フェスティバル」というのは、クラシックファンなら誰もが一目置く老舗のフェスティバルだ。今年で53回目だというのだから恐れ入る。かつてバイロイト音楽祭を呼び寄せたその実績は燦然と輝き、今も語り草となっている。
 会場にはその歴史を綴った写真が展示されていた。伝説級の公演や演奏家たちの列伝だ。
 
 さて、本公演について。
 幕が開き、いかにも日本人演出的な陳腐な装置と、冒頭の歌唱アンサンブルの稚拙さに頭を抱えた。「しまった、これはハズレだったか」
 だが、すぐに思い直す。「音楽を楽しめ。ロッシーニを楽しめ。そもそもランスへの旅上演にハズレなどない。それにゼッダ先生のこと、絶対にここから立て直してくる!」
 
 私の思いはすぐに現実のものとなる。沸き立つ音楽、珠玉のアリア、思わずニヤリとしたくなるロッシーニ・クレッシェンド、歌手たちの自慢の歌唱テクニック・・・。なんて楽しい!これぞロッシーニ!究極の愉悦!
 演出なんかどうでもいい。オーケストラがセミ・プロだろうが関係ない。ストーリーなんてあってないがごとし。ただ音楽に耳を傾け、それを堪能する。気が付けば魔法に掛かり、悦に浸り、陶酔している自分がいる。Vivaロッシーニ
 
 それにしても、ゼッダ翁は偉大だ。歌手もオーケストラも、みんなこの指揮者に引っ張られている。演奏家のベクトルが、客席ではなく指揮者に向けられている。
 そうした若い音楽家たちの熱視線を一身に浴びて、ますます昂揚していく老巨匠。御年87歳だなんていったい誰が信じようか。
 
 歌手では、やはりというか、4人の外国人は期待どおりの活躍。特にガウディとジブラーゼの女性お二人はスケールも大きく、演技も達者で「さすがアカデミー出身」と唸らせた。
 日本人の中ではコリンナを歌った老田さんは、その美しく伸びやかな声で聴衆を魅了し、喝采を浴びていた。
 
 大満足の大阪遠征。さてと、それではお好み焼きと串揚げを食いに行くとしましょうかね、Kくん。