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2015/4/11 E・クールマン 歌曲リサイタル

2015年4月11日  東京・春・音楽祭 歌曲シリーズ   東京文化会館小ホール
エリーザベト・クールマン  リサイタル
エドゥアルド・クトロヴァッツ(ピアノ)
ワーグナー  ヴェーゼンドンク歌曲集より、ラインの黄金よりエルダの警告
シューマン  女の愛と生涯より
他リスト、グルックシューベルト歌曲
 
 
 なんて知性的なリサイタルだろうか。
 タイトルに「愛と死をうたう」とあるとおり、愛ゆえの幸せと苦悩をプログラムに散りばめ、全体として強いテーマ性を帯びさせるように考え抜かれている。あたかも一つの大きな作品であるかのように、一曲ごとの拍手を控えさせ、統一感と流れを醸し出そうとしている。
 
 当初は、芸術的観点から休憩なしの予定だったそうだ。喉を休めるためのピアノ・ソロ時でも舞台袖に引っ込まずにステージ上に佇みながら、まるで音楽上の思索を展開しているかのよう。
 
歌そのものも、実に創造的かつ理知的である。
旋律、詩、伴奏、声、表情などすべてを叙情に流されないように緻密にコントロールしていることが伺える。
 
歌手のリサイタルで、こんなにも深い味わいを伴った公演は久しく記憶にない。実に、実に素敵だ。
 
知性的、理知的・・・。
そう、この日のプログラムにもあったとおり、彼女は知の女神エルダだったのだ。
「すべての過去のさまを私は織る。すべての生成と未来も、私には見えている。」
 
エルダの警告、クールマンの芸術的主張に、我々は耳を傾けなければならない。