2015年3月13日 ボストン交響楽団 ボストン・シンフォニーホール
指揮 クリストフ・フォン・ドホナーニ
エマニュアル・アックス(ピアノ)
モーツァルト ピアノ協奏曲第14番
「週末とはいえ平日の午後のコンサートでいったいどれくらいお客さんが入るのだろう?」などと思っていたら、これが十分に大入り。すごいなあ。客層がシルバーばかりなのは、まあ仕方がないか。そういう時間帯だもんな。(もっとも夜の公演だったとしても、シルバー比率は相当高そうな気配だが)
指揮者ドホナーニ。
来日も遠ざかっていて、近年、日本にはその活躍ぶりがまったく伝わって来ない。話題にさえならない。完全に「まだ生きているのか」的な扱いだ。はたして健在なのか、それとも。
80半ばだそうだが、指揮台に向かう足取りも軽やかで、元気そのもの。この人のリハーサルはかなり厳格との噂だが、登場したお姿を見る限りはニコニコしていて好々爺って感じだ。音楽はキリリと引き締まって、とても端正。モーツァルトもシュトラウスもややマジメすぎるが、まあいいじゃないか。まだまだいけるぞ、ドホナーニ。また日本に来てほしいが、もう無理??
もっとも日本側に彼の需要があるかどうかは、いささか怪しいが。
ピアニスト、アックス。
名ピアニストでアメリカではかなりの人気らしいが、日本での評価はイマイチ確立されているとは言えない。
その理由がなんとなく分かる。要するに地味なのである。芸術家としての風格、オーラに乏しい。見た目だけでなく、音楽もそう。モーツァルトはまあいいとして、シュトラウスのブルレスケはもっと弾けた演奏をしてもいいと思うが。
でも、お客さんの反応はかなり上々だった。スタンディングオべーションにはちょっと驚いた。それほどだったか?? アメリカ人は結構あまいんだよな(笑)。
興味津々だったシンフォニーホールの音響。なるほどねー。悪くない。特に弦楽器のサウンドがまろやかに聴こえる。シカゴ・シンフォニーホールやニューヨーク・カーネギーホールより上であることは間違いない。でも我らがサントリーHよりは下かな。
ロビーの片隅には歴代音楽監督のポートレート写真が飾られている。モントゥー、ミンシュ、クーセヴィッキーといった伝説的指揮者の系譜が、このオーケストラのとびっきりの伝統を教えてくれる。続いて小澤、レヴァイン、ハイティンク、新音楽監督のネルソンス・・・。
今回も本当はネルソンスが振るコンサートに行ければベストだったが。まあこればかりは仕方がない。
そのネルソンス、万が一ベルリンに呼ばれたら、ボストンとの二足のわらじを履くのだろうか。それをベルリンは許してくれるのであろうか・・。