指揮 ネッロ・サンティ
ロッシーニ どろぼうかささぎ序曲
ベルリオーズ 序曲ローマの謝肉祭
チャイコフスキー イタリア奇想曲
前半と後半でこれほど印象が変わるコンサートも珍しい。
前半の2曲は、もう呆れるくらい退屈だった。コンサートに行ったことを後悔したくらいだった。特にロッシーニ。どろぼうかささぎ序曲は、ロッシーニの数ある序曲の中でも個人的にウィリアム・テルやセヴィリアの理髪師に匹敵するくらいの名曲だと思っているのだが、こんなにも覇気がなく、沸き立つものがなく、くそまじめでつまらない演奏を聴くのは初めてと言っていい。
これがどこの馬の骨とも分からない指揮者による演奏なら、まだいい。イタリア・オペラを熟知している巨匠ネッロ・サンティだけに、たちが悪いったらありゃしないのである。
サンティは数年前のPMFオーケストラでもこの曲の演奏を披露したが、その時は魅力を余すところ無く伝えていた記憶がある。
だとしたら、N響にやる気がなかったか、もしくはジイさんがもうろくしたかのどちらかであろうが、私は8割方ジイさんの責任に思えた。それも仕方がないだろう。指揮者が結果の責任を取るのは当然。仮に良い演奏だった場合に手柄を持っていくのもこれまた指揮者なのだから。
驚いたことに、後半の演奏は一転して秀逸だった。
すべての音に生命が息吹き、すべての音が色づき、演奏中に刻々と鮮やかに変化していった。指揮者の目は隅々まで行き届き、管弦楽曲の魅力を最大限に引き出していた。
前半と後半で、いったい何があったのか。 ・・うーん、わからん。
サンティも寄る年波には勝てず、カーテンコールの出入り回数を省略するなど足腰の衰えが顕著だが、少なくとも後半のような音楽を引き出せる限りは、まだまだいけそうである。
もっともサンティ師匠にそうしたプログラムの需要があるかどうかは全然保証出来ませんけど(笑)。
追記
絶対書こうと思って上に書くのを忘れたことを付け加え。