クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2014/11/21 都響

2014年11月21日  東京都交響楽団   東京芸術劇場
コープランド  アパラチアの春-13楽器のためのバレエ
R・シュトラウス  13管楽器のためのセレナード
 
 
 まず、当初に予定されていた指揮者で亡くなられたクリストファ・ホグウッドに哀悼の意を表したい。
 ホグウッドは私にとって、古楽器演奏というスタイルの存在を一番初めに教えてくれた指揮者だ。エンシェント室内管弦楽団との来日公演に最初に足を運んだのはもう30年も前になるが、あまりにも新鮮なモーツァルトに腰を抜かしたことを今でもよく覚えている。
 
 などと書くと、この公演に行こうとしたきっかけもホグウッドだったようにも受け取れるが、実を言うとさにあらずで、興味をそそられたのはプログラムの方だった。
 マクリーシュは古楽系で有名で、ということはホグウッドの系統を踏まえて代役の白羽の矢が立ったのかもしれないが、まあはっきり言って指揮者は二の次であり、プログラムに変更がなかったことが私にとっての幸いだった。
 
 ところがである。結果的に大いなる満足感を与えてくれたのは曲そのものよりも演奏の方だった。指揮者マクリーシュが編み出した音楽作りに感心し魅せられたのだから、音楽鑑賞というのは実に面白いものである。
 
 コープランドシュトラウス室内楽だったのだが、とにかく響きが透明で美しかった。静謐な佇まいの部分では息を呑むほどだった。もちろん都響選抜メンバーの確かな技量の賜物なのであるが、ハーモニーの構築方法、強弱、奏法に至るまですべてをマクリーシュが統率していたことは間違いない。
 彼にはどのように音を重ね合わせたらどのような結果が得られるかが、すべてお見通しなのだと推測する。楽器の特性もすべて頭に入っているのだろう。
 
 編成が大きくなったメンデルスゾーンでもそのアプローチは同じで、一貫してぶれがない。あくまでも室内楽の延長なのだ。こうして聴くと、オーケストラ音楽というのは個々の奏者及び楽器群の精密なアンサンブルの上に成り立っていることが改めて理解できる。それを示したのがマクリーシュだったというわけだ。
 
 完全にノーマークだった指揮者だが、今後も彼の名前はしかと覚えておいた方が良さそうである。