クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2014/11/2 ガルミッシュ・パルテンキルヒェン

 旅行最終日。この日の天気を数日前から気にしていた。天気予報を頻繁にチェックしていた。ぜひとも晴れてほしい。晴天を前提とした観光計画をあらかじめ立てていた。
 
 行こうと思っていたのは、ミュンヘンから電車で1時間20分のガルミッシュ・パルテンキルヒェンだ。アルプスの麓。ドイツの最高峰ツークシュピッツェの登山やハイキング、スキーといったレジャーの起点となる町である。
 同時にクラシック音楽ファンにとってはR・シュトラウスのゆかりの町としても知られる。シュトラウス雄大なアルプスを望むこの地を愛し、晩年に移り住んだ。その邸宅には今も子孫が住み、シュトラウス本人はここの墓地で永眠している。
 
 今年はシュトラウスの生誕150年記念イヤー。このタイミングでせっかくミュンヘンに来たのだから、久しぶりにツークシュピッツェに登りつつ、併せてシュトラウス巡礼をしたいと考えた。彼の作品をこよなく愛する私にとって、それは「しなければならないこと」のように思えた。
 
 天気は晴れた。いやー、うれしいなあ。きっとシュトラウス様への思いが通じたのだ。
 
 ガルミッシュに向かうにあたっては、「バイエルン・チケット」という切符を手配した。バイエルン州内のドイツ鉄道(UバーンやSバーンも含む)が一日乗り放題のパスだ。料金は23ユーロ。正規料金ならガルミッシュまで片道だけで20ユーロする。更にこの日は帰国で、夕方には空港に向かわなければならないが、ミュンヘン市内から空港に行くだけでも10ユーロかかる。それらを含めれば、圧倒的にお得なチケットなのである。
 ただし注意点があって、ICやICEといった特急には乗車できないことや、平日だと午前9時からの利用開始という制限があるので、気を付けたい。ちなみにこの日は日曜日だったので、時間制限については最初から何の問題もなかった。
 
 さっそくバイエルン・ツークシュピッツ登山鉄道に乗り換えようとしたが、同鉄道の駅構内や切符売り場はがらんと静まり返っている。一瞬「しまった、ひょっとして運休日か?」とあせったが、単純に次の電車の発車時刻までまだかなり時間があるということであった。
 この登山鉄道、運行は1時間に1本。あらかじめ時刻表をしっかり調べておくか、もしくは余裕のある計画を立てないと、思わぬ足止めをくらうことになる。
 
 上にも書いたとおりツークシュピッツェはドイツで一番高い山。標高2962メートル。登山鉄道とロープウェーを乗り継いでいく。頂上は息を呑むパノラマが広がる。その絶景をご覧あれ。
 
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 下山し、ふもとのアイプ湖畔を散策し、ランチを取り、そしていよいよミッションにとりかかる。
 この地にあるシュトラウスのゆかりの場所は主に3つ。小さな博物館が併設されている「R・シュトラウス研究所」、「シュトラウスが住んでいた家」、それからシュトラウスが眠る「お墓」である。
 これらはそれぞれ離れた場所にあるので、全部見たいのなら、回り方を検討しなければならないし、なおかつ時間も要する。「登山もハイキングも」と欲張ってしまうと、日帰り旅行だと厳しいかもしれない。
 
 ちなみにインスティテュートには以前に訪れたことがある。関係者や専門家でなく普通のファンなら、はっきり言って一回訪れれば十分の施設。土日はクローズなので、どっちにしても今回は無理だった。
 シュトラウスが住んでいた家は今も私邸のままなので、できることといったらせいぜい外側から見て、記念写真を撮るくらい。話のネタに訪れてもいいとは思うが、必見というほどでもない気がする。
 
 ということで私が今回足を運んだのは、お墓。訪れたのは初めてだ。場所はインフォメーションで尋ねてもいいし、ネット地図で「Friedhof」と検索すれば簡単に見つけられるだろう。
 
 私の場合、観光にこうしたお墓参りを組み込むことは時々あって、過去のブログ旅行記でも何度か出て来たと思う。別に墓マニアでもなんでもなく、ただ偉大な音楽家に触れたいという純朴な気持ちだ。心の中でだけでもいいからご挨拶を差し上げたい、それだけである。
 
 墓地は市の中心部からはやや離れていて(ま、そりゃそうだよな)、駅から徒歩でだいたい20分くらい。シュトラウスのお墓は霊園内の奥の方の壁側にある。ひたすら壁に沿って探せば、必ず見つけることが出来る。
 
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 天気は午後になっても一向に崩れる気配がなかった。
 アルプス交響曲では、刻々と変化する山特有の天候で雷雨に見舞われる様子が描かれているが、この日のアルプスは終日穏やかで優しく、太陽光線に照らされたツークシュピッツェの眺めはため息がでるほど美しかった。この景色をシュトラウスも眺めていたのかと思うと、ちょっと感傷的になった。
 
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