クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2014/11/11 サンタ・チェチーリア管

2014年11月11日  ローマ・サンタ・チェリーリア国立管弦楽団   サントリーホール
諏訪内晶子(ヴァイオリン)
ブルッフ  ヴァイオリン協奏曲第1番
 
 
 一曲目のロッシーニの序曲が奏でられた瞬間、サントリーホールのステージに地中海からの陽光が差し込んだ。天真爛漫、まるでひまわりのような明るい音。ウキウキするような開放感のある音。
 ああ、イタリアだ。これぞイタリアの音だ・・・。
 なーんて、イタリアのオーケストラの音色を「明るい、開放感のある」などと表現するのは、実を言うといかがなものかと思う。だって、定形イメージそのまんまじゃないか。もうちょっとマシな表現が出来ないものかのう。
 
でもね、本当にそういう音なのですねー、これが。笑っちゃうくらい。
だから仕方ないけど、そう表現するしかない。
 
 この個性豊かなオーケストラサウンドは、ドイツ音楽であるシュトラウスアルペンでも揺らぐことがない。
 彫りの深さとか陰影とか、そういうのはない。色彩は単一のキラキラ原色のみ。変化させているのは強弱だけ・・・なんてことを言ったらパッパーノに怒られちゃうか(笑)。すみません。でもそう聞こえるんです。
 
 ただし、その強弱幅は大きい。振動数も大きい。だから良く響くし、ホールも共鳴する。
 その結果、アルプスの壮大さがとても感じられたし、シュトラウスの華麗なサウンドを十分に堪能することが出来た。だったらそれでいいと思う。何の文句もあるまい。
 
 実は先日のロンドン・ミュンヘン旅行で、最終日、私はミュンヘン郊外のガルミッシュ・パルテンキルヘンに行ってきた。ドイツの最高峰ツークシュピッツェ山に登ってきた。もちろん登山ではなくロープウェイでだけど。
 シュトラウスアルプス交響曲が、この山の登頂を描写して作曲されたことは周知の事実。そういう意味でも、実際の景色を思い出しながらの観賞はとても楽しかった。
 
 
 コンチェルトの諏訪内さんはとても優雅なブルッフ。女性らしいしなやかで曲線を描くような奏法。その分、力強さや鋭さはない。でも好演だった。
 ブルッフのコンチェルト、自宅のオーディオで聴くことはほとんどないが、久しぶりに聴くといい曲だなあと思った。
 
 ところで、今回のサンタ・チェチーリアの来日公演で、個人的に再会を楽しみにしていたのが、ティンパニーのオヤジ。プロの首席奏者に向かってオヤジとか言っちゃ失礼だけど、でも私は大いなる親しみを込めてオヤジと呼ばせてもらう。
 前回の来日公演で、その個性的な叩き方が目に留まったのである。それに「ああいうオヤジ、イタリアにいるいる!」と。
 ピッツェリアの店主もああいうオヤジが多いし、タクシーの運ちゃんもああいう感じ。カルチョのスタジアムでも、年季の入ったサポーターで腕を組んでジッと戦況を見守っているオヤジは大抵あんな感じ。頑固だけど優しい。うるさいけど筋が通っている。職人としてのプライドは超一流。
 
 オヤジさん、あなたのティンパニーの叩き方、最高っす。