指揮 アントニオ・パッパーノ
ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
リムスキー・コルサコフ 交響組曲シェヘラザード
いやびっくりした。サンタチェチーリア管の、いかにもローカルっぽいエキゾチックな音色。音量デカい。洗練さとは無縁。「オレの音を聴け!」みたいに自己主張するソロ。自分の奏でる音に自ら酔いながら気持ちよさそうに演奏する各奏者たち。
あれー?こんなオケだったっけ?サンタチェチーリア。いや、過去に何度か聞いているが、こんな印象を覚えたことはない。
ベタな演奏。ロシア弁丸出し。べらんめえ調。シベリア荒涼大地の叫び。土着民族の春の祭典。
共通しているのは「ロシア」。
もし、指揮者パッパーノが、ロシアプログラムを採り上げるにあたって、こういう音を目指してあえて創り上げたのであれば、私はとても感心する。テンポやボリュームを変化させても、音色自体やスタイルまではそうは簡単に変えられないからだ。なんか偶然の賜物のような気がしないでもないが。
コンチェルトのベレゾフスキーの速射砲のようなラフマニノフは、私の個人的な好みからは大きくかけ離れていたが、有無も言わせぬ説得力であっという間に押し切られ、あえなく降参。
ということで、全体的に「これでいいのか!?」という公演だったが、「これでいいのだ!」という自信満々の演奏だったし、お客さんも大喜びみたいだったから、「ま、いっか・・・。」
最後に、いい味出していたティンパニーのオヤジさん、サイコーっす。
こういうオヤジ、イタリアにいるいる、よく見かける。ピッツェリアの厨房で腕組んでデンと構えているような職人気質。頑固だけど違いの判る男ゴールドブレンド。やっぱりイタリアはいいね。