クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2014/10/31 ミュンヘン1

 イギリスはEUのシェンゲン協定加盟国ではないため、同国からドイツに入る時は入国審査が行われる。欧州ではない日本もまた、直行便でドイツに入ると入国審査が行われるのだが、これまでの経験で担当官から何か質問されたことなどほとんどなく、大抵はただスタンプが押されるだけの簡単な手続きであった。
 今回ロンドンからミュンヘンに到着し、パスポートコントロールに行くと、審査に並ぶ人でずらっと列が出来ていた。一人一人かなり詳細に聴取している様子だった。
 
 テロや不法就労感染症等に神経を尖らせているのは分かるが、我々が所有する赤いパスポートは国際的に非常に信用性が高い。不法就労なんかしないし、テロも起こさないのである。そんなことは担当官だって先刻承知だろう。
 色々と聞かれている他国の人たちを横目に、パスポートを提示した瞬間ズバッとスタンプが押されるかと思ったら、どっこいこれが甘かった。
 
「滞在日数は?」 「二泊三日でーす」
ショートステイですね。何か目的があって来たのですか?」 「えーと、オペラを観に」
「おひとりで?」 「イエス。 (余計なお世話だよ)」
「本当に?」 「イエス。 (うるせーっての)」
「オペラのチケットは持ってますか?見せて。」 「・・・(信用してねえな、てめえ)」
「宿泊先の予約確認書も見せて。」 「・・・(うぜー)」
「あと、帰りの飛行機の予約確認も見せて。」 「・・・(あんたもしつこいね)」
 
 結局並び始めてからパスポートコントロールを抜けるまでに20分以上を要してしまったが、これは想定外だった。まるで審査の厳しいイギリスやアメリカ並みではないか。ミュンヘン市内に入ったらすぐにでも行きたいところがあったので、かなりイラついた。
 
 その行ってみたいところというのは、FCバイエルン・ミュンヘン博物館だ。バイエルンの試合を観戦したことはこれまでに何度もあるが、ミュージアムはまだ行ったことがなかった。大いに盛り上がるであろう翌日のドルトムント戦を控え、試合を観られないせめてもの代わりとして行ってみようと思った次第だ。
 
 博物館は試合が行われるスタジアム内にある。市内中心部から地下鉄U6で約15分のフレットマニング駅下車。そこから徒歩で更に10分。
 試合がない日のスタジアムは普通なら閑散としているはずであるが、これがなんとまあ、そうでもない。ミュージアム(もしくはスタジアム見学ツアー)のチケットを購入するために、またまた並ばなければならないほどだ。さすが天下のバイエルン、ものすごい人気。
 
 博物館の内容も非常に充実している。
 真っ先に目に飛び込んでくるのは、ずらりと並ぶ栄光のトロフィー(ドイツの場合、カップではなくマイスターシャーレと呼ばれる皿)の数々。まことに壮観である。
 
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 それからベッケンバウアーゲルト・ミュラーオリバー・カーンなど伝説の選手を紹介する特大パネル。
 
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 モニターやスクリーンでは、歴史に刻まれた試合で生まれたゴールシーン映像がふんだんに流されていて、思わず見入ってしまう。うーん、こりゃたまらん!
 
 現役選手たちの等身大パネルが並ぶコーナーでは、多くの人たちがパネルと一緒に記念撮影に興じる。あこがれの選手のパネルと写真に収まるファンの表情は、大人も子供もみな紅潮。いいねえ。
 
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 別のコーナーでは、過去に在籍したすべてのプレーヤーの顔写真が年代順に飾られていた。とりわけ1980年代以降は知っているプレーヤーを数多く見つけられて、とても懐かしい。
 そうした名選手に混じって、たった一人の日本人を見つけることが出来る。2011年から1シーズンだけ在籍していたガンバ大阪の宇佐美選手だ。
 残念ながら活躍することができなかった。そりゃ、世界最高の選手と言われるロッベンやリベリとポジションが重なっては、どうあがいても無理だ。クラブにしても、ドルトムントの香川の活躍に触発され、焦ってつい日本人に手を出してしまった感がないでもない。
 
 でもさ、宇佐美くん。このクラブに在籍したというだけでどえらい快挙だ。だってバイエルンだぜ。泣く子も黙るぜ。
 博物館に来てごらん。こうして君の名は栄光のクラブの一員として残っている。きみはすごいんだよ。だから早く代表に呼ばれて日本を先導して欲しい。
 
 娯楽いっぱいのミュージアムを出ると、そこはオフィシャルグッズのメガストア。まるでバーゲンセールのように大きな袋いっぱいにグッズを買い込み、「楽しかったねー」とスタジアムを後にする家族連れのファンたち。
 皆さんは本当に幸せだね。羨ましい。私もミュンヘンに生まれたかったな。だって、ここには極上のオペラ、極上のフットボール、そして極上のビールがあるのだから。
 
さて、と。それでは私もその極上のビールをちょいと飲みに行きますか・・。