クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2014/2/18 スコティッシュ・チェンバー

2014年2月18日   スコティッシュ・チェンバー・オーケストラ   サントリーホール
指揮  ロビン・ティチアーティ
メンデルスゾーン  フィンガルの洞窟序曲
ショパン  ピアノ協奏曲第2番
 
 
 イギリス出身の指揮者ティチアーティについては、実は少々引っかかっていたことがあった。
 6年前、ザルツブルク音楽祭の名を冠したオペラが日本で上演された。2006年にC・グートの演出により制作された「フィガロの結婚」が日本にやってきたのだが、その時の指揮者がティチアーティだった。
 この時、私は公演そのものに胡散臭さを感じ、聴きに行くのをパスした。確かにザルツブルク音楽祭の制作かもしれないが、日本に持ってきたのは演出と装置だけで、指揮者もオーケストラも歌手もすべて異なる。主催側の「絶大なネームバリューを利用して釣ってやろう」という魂胆が見え見えで、私はそれが気に食わなかったのだ。
 
 とは言え、指揮者については気になっていた。20代そこそこでスカラ座ザルツブルク音楽祭にデビューした俊英の噂は私の耳にも届いていた。
 その後、グラインドボーン音楽祭の音楽監督に就任というニュースも飛び込んで、「うーん、やっぱりあの時聴いておけば良かったかなあー」なんて思っていたちょうどその時、今回の来日公演のことを知ったのである。メインの勝負曲は王道のベト5。しかもピリスのショパ・コン付き。申し分ないじゃんか。
 
 ということで、チケットは迷うことなく速攻で購入。結構楽しみにしていたコンサートだった・・・のに・・・。
 仕事が忙しくて、公演に遅刻。フィンガルは聴き逃した。ヘタをするとコンチェルトもアウトだったが、全力で駆けつけて何とかギリギリ間に合った。ちくしょうめ。
 
 ピリスのショパンは、乱れた息と高まった心拍数を安らかに鎮めてくれた。純粋で、清らかで、叙情に溢れたピアニズム。特に第二楽章の美しさといったら!それは究極の美への誘いであり、天国への憧憬であり、神の恩寵だった。本当に間に合ってよかった。
 
 ようやく聴くことができたティチアーティは、見た目と同様、若さ溢れる溌剌のタクトで活気のある演奏を披露し、楽しませてくれた。P席から指揮姿を観察したが、指揮しながら思わず溢れる笑顔がかわいい(笑)。まるで指揮をするのが楽しくて仕方がない様子。
 ラトルに師事したとのことだが、ラトルも指揮をしながら笑みが溢れることがあり、そこらへんはしっかり引き継いでいる。きっと師匠から「音楽する喜びをしっかりと表現しなさい」とでも言われているに違いない。
 ピリオド奏法の特長を活かし、洗練された響きと輪郭のはっきりしたフォルムが冴え渡って、まさに才気爆発という感じだ。
 
 近年、若い才能の開花を目の当たりにすることが多くなって、それはそれでとても嬉しく思う。自分がどんどん歳を取っていくのを否が応でも自覚して、複雑な心境でもあるが(笑)。
 
 
 ところで話は変わるが、今仕事が猛烈に忙しい。この公演だってそのせいで遅刻したし、鑑賞記も5日たってようやく書くことができた。
 本日は午後に二期会のオペラ「ドン・カルロ」を鑑賞したのだが、午前は仕事だった。はたしてこの鑑賞記を書けるのはいつになることか・・・。くそー。