ベルリン・フィルの新シーズンプログラムを眺め、そこに招聘されている指揮者の陣容を見て、思う。
彼らが今現在、クラシック音楽界を牽引する指揮者たちであり、注目していくべき「顔」なのだな、と。
ヤンソンスやバレンボイム、ブロムシュテットといったいわゆる巨匠、ビッグネームだけでなく、いぶし銀、中堅、俊英、ニューウェーブと、実にバランスよくセレクトされている。ラトルの任期が切れ、ペトレンコの正式就任に至っていない今シーズンだからこそ選出された各世代の精鋭たち。まるで有能指揮者の見本市のような壮観さだ。
で、ずらりと並んだ精悍な顔ぶれの中から、「さて、次に抜け出てくるのはいったい誰だ!?」「誰がペトレンコ以外でベルリン・フィルとの結びつきを強めてくれるのか!?」といった品定めをしようとしているオーケストラ側の目論見、思惑もひしひしと感じられるわけだ。
大物指揮者の実力は、もうわかっている。彼らは単に「箔」としてつながっていてくれればいい。
ベルリン・フィルが注視しているのは彼らではない。
ハーディング、P・ヤルヴィ、ソフィエフ、A・ギルバート、F・X・ロト、S・オラモ、J・フルシャ・・・。
彼らこそが「ザ・ネクストワン」候補者。
今のところ、「第二グループ」はネルソンスとドゥダメルが一歩リードしている状況だが、まだまだ予断を許さない。形勢逆転は十分に有り得るだろう。ベルリン・フィルはそうやってアバド、ラトル、そしてペトレンコを引き抜いてきたのだ。
個人的に注目している指揮者がいる。
シーズン終盤に登場するコンスタンティノス・カリディスだ。
ギリシャ出身。
と言えば、そう、あの奇才クルレンツィスと同胞。
ギリシャから再び天才が生まれたのか? それとも? うーむ・・聴いてみたい。