クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

東京オリンピックの不安事

 なにはともあれ、東京に決まって良かったじゃないですか。あの一億総「がんばれニッポン!」現象は正直言って辟易だが、みんなが明るく元気になって、「よし、がんばろう」という気になって、それで景気が少しでも回復するというのなら、私は何の文句も言いません。IOC総会での日本チームによるプレゼンも、素直に感動したしね。
 
 1つだけ心配がある。
 インフラ整備、テロ対策、渋滞、暑さなど、懸案は色々あるかもしれないが、私にとって一番気がかりなのは開会式の演出である。
 
みんな、長野オリンピックの開会式セレモニー、覚えてる??
私はあれ、近年のオリンピックの中で最低、もっともつまらなかった開会式だったと思っている。
 
思い出してみてくれよ。
長野の伝統祭りの紹介、横綱の土俵入りの紹介、第9の世界同時演奏(指揮:小澤)・・・。
 
それから、横浜で行われた日韓ワールドカップの決勝戦。試合前に行われたセレモニーで、スタジアムで何をやったか知ってる?
盆踊りだ。
 
断っておくが、伝統祭りや横綱の土俵入り、盆踊りそのものがつまらんと言っているのではない。
私がこき下ろしたいのは、それらが「日本文化の紹介」と、「既存の物の活用」だけで終わってしまっていることなのだ。
要するに「披露」しただけなのだ。それってさあ、単なる自己満足だろう。
 
日本の文化を紹介するのは良い。むしろ絶好のアピールの機会である。
だが、それを単に紹介・披露しただけでは脳がない。想像力と創造力が欠如していると言わざるを得ない。
はっきり言うが、伝統祭りや横綱の土俵入りを披露するだけの演出だったら、オレだって出来る。それでいいのならオレにやらせろ。報酬はたったの1億円で勘弁したる。
 
披露した物が世界の人々にどのように結びつくのか。
それが未来に向けてどれだけ広がるのか。
どんなファンタジーを描くのか。
それを見た世界中の人々がどれだけ夢と希望を見出すことが出来るのか。
日本はこれからどこに向かっていくのか。
日本は世界に向けてどんなメッセージを送ることが出来るのか。
 
そこまで考え抜いて手がけて欲しいのだ。
 
だが私は、非常に、ひじょーに、悲観的である。
日本にそこまで創造力のある演出家がいるかと言えば、私にはまったく思い浮かばない。
それは、日本で上演されるオペラを見れば、よーーく分かる。
 
 外国の演出家は、原作を通じて「何が読み取れたか」「何を伝えたいか」「何を発信するか」に最大の重きを置く。これに対し、日本人の演出家は、見ている人に物語そのものをいかに正しく理解させるかに重きを置く。
 
 
私にはもう開会式のセレモニーの様子が目に見える。
歌舞伎、日本舞踊、和太鼓演奏、浅草三社祭東日本大震災からの復興に関する映像紹介・・・。
 
やれやれ・・・。