2013年8月2日 新日本フィルハーモニー交響楽団 すみだトリフォニーホール
合唱 栗友会合唱団、東京少年少女合唱隊
10年間音楽監督を務めたアルミンクの卒業公演。
しかし10年は長い。よく続いたものだ。シーズンごとにテーマを定め、現代音楽やオペラも果敢に挑むなど、それなりの功績を残した。十分務めを果たしたと言えるだろう。
今回のマーラー3番は、彼の就任披露演奏会で採り上げているのだそうだ。私はこの公演に行かなかったし、仮に行ったとしても10年前の公演をはっきりと記憶しているわけなどないから、どっちにしても比較は出来ないが、少なくともこの日の公演は彼の思い入れや信念が強く感じられた、渾身のタクトだったと思う。
最後ということで、おそらくリハもいつも以上に念入りに手がけたのだろう。冒頭のホルンの強奏のテンポを含め、随所にアルミンクならではの音楽が見出せた。細部まで完璧な仕上がりである。(さすがに、新日フィルの名物である金管のミスだけはお手上げだったと思うが。)
この日のアルミンクの指揮は、まるで鳥が翼を広げて空を飛んでいるかのように優雅だった。その姿は飛翔だった。彼は未来に向かって羽ばたいていった。そして聴衆もまた、そんな彼に対し、演奏後タクトが降ろされるまでの潤沢な静寂とその後のスタンディングオベーションで最大限に称え、感謝の念を持って送り出した。
新日本フィルにしたって、明るい未来が待ち受けている。ハーディングとメッツマッハーのコンビはこれからも大いなる期待を抱かせる。
このオーケストラに幸あれ。ついでに金管の技術向上にも幸あれ(笑)。