クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

グランド・オペラ

音楽之友社の雑誌「グランド・オペラ」。先日発売された2013年春号(創刊50号)をもって年2回の定期刊行が終了となることが告知された。
 巻末の「お知らせ」によれば、「改変による再スタート」「1号1号異なるテーマを持った臨時増刊のムックという形で刊行していく」などと言い訳されているが、要するに早い話が「売れ行きが悪いので休刊」ということだ。

残念だなあ。
私はこの雑誌の愛読者であった。
だって、日本唯一のオペラ専門雑誌だったんだぜ。年にたったの2回だけだったが、購読を楽しみにしていたのに。

 やっぱりオペラ愛好家というのは基本的に少ないんだろうねえ。世間一般の中でクラシック音楽を趣味とする人は少数派で、その中でもオペラとなるとさらに希少生物になってしまうのだろうなあ。そうでなくても、現代は本や雑誌の売上げが右肩下がりの時代。仕方ないと言えば仕方ない。

 もっとも創刊は1991年というから、逆に「よくまあ続いたな」と言えなくもない。

 毎号の特集記事は、はっきり言ってパターン化されていて、ややマンネリ気味であった。
 その時代の旬な歌手特集、憧れの一流劇場や音楽祭の特集、ヴェルディプッチーニなどのイタリア・オペラ特集、ワーグナーを代表とするドイツ・オペラ特集・・・。だいたいこれら基本パターンの使い回し。もちろん多少は変形させていたが。

 ただ、海外特派員による生のレポートは、「本場で何が起きているのか」を直に伝えてくれて、世界の傾向や潮流を知ることが出来、読み応えがあり、とてもありがたかった。新しいスター歌手、日本ではまだ無名だけど現地では評判を得つつある歌手などの動向を、私は少なからずこの雑誌から入手していた。

 今の世の中、インターネットによってなんでも情報を入手できるようになった。しかもタダで。だが、よっぽど上手に活用しない限り、そうした情報は断片的なものだ。さらに、膨大な情報量から取捨選択を我々自身が行わなければならない。
 本や雑誌の利点は、そうした情報が編集者によって読者に届けやすいように企画され、再編されて提供されることだ。そこにこそ、お金を払う価値が存在するのである。

 なにはともあれ、「今後も臨時増刊という形で、より読者の方々のニーズに密着した内容にしていく」と書いてあるので、信じて気長に待つとしましょうか。どうせ次号の予定は果てしなく未定なんだろうけどね。