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2013/4/27 日本フィル

2013年4月27日  日本フィルハーモニー交響楽団   サントリーホール
指揮  ピエタリ・インキネン
シベリウス  交響曲第3番、第6番、第7番


 チクルスの最後だったが、三日間の中でこの日が一番良かった。これまでに比べて、日本フィルの演奏レベルが一段上ったという感じだ。
 前回の交響曲第4番の感想で、私は「ソロやパートのみの演奏になると、途端に自信がなさげ」と書いた。だが、この日はそういう印象を全く受けなかった。木管アンサンブルはしっかり整っていて美しかったし、トロンボーンのソロは心を打った。弦楽器もよくタクトに食らいついていた。
 やはり、同じ作曲家の交響曲を、同じ指揮者と集中的に取り組んだ成果がてきめんに出たのだと思う。

 この日、第6番と第7番を切り分けず、同一交響曲のように通して演奏したのだが、面白い試みだ。違和感が無かったし、本当に同一交響曲のように聞こえた。
 7曲の交響曲をチクルスにする際に、これらを三日間にどのように振り分けるかについては指揮者インキネンも熟考したと思うが、6番と7番に関しては、彼の頭の中では最初から繋がっていたのではなかろうか。異なる2つの交響曲をあたかも同一交響曲のように捉えるのが良いか悪いかは別として、一つの見解として、受け入れようと思う。

 この日のインキネンの演奏を聞いて一つ嬉しかったのは、最終日になってようやく、音楽の中にフィンランドの景色を思い浮かべることが出来たということ。

 以前にも記事に書いたとおり私はフィンランド湖水地方を旅したことがあるのだが、その時目にした風景は、シベリウスの音楽にどうも今ひとつ結びつかなかった。このため、シベリウスの音楽の源流がどこにあるのか、ずっと分からないままだった。シベリウス=森と湖の原風景という漠然としたイメージがあるが、本当は違うんじゃないかとさえ思っていた。
 インキネンのチクルス演奏によって、今度こそ北欧の息吹を感じさせてくれるのではないかと期待したのだが、最初の二日間の演奏を聞く限り、その期待は裏切られていた。インキネンが目指している方向は、自然の開放感ではなく、内向的かつ抑制的なものだった。

 もちろんこの日の演奏だけでモヤモヤ感がすべて解消されるわけもなく、依然として理解が及ばない面も多々あるが、やはりシベリウスの曲はフィンランドの土壌の上に成り立っているということを改めて確認できただけでも、大きな収穫だったと思う。