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2022/4/23 日本フィル

2022年4月23日   日本フィルハーモニー交響楽団   ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮  ピエタリ・インキネン
シベリウス  交響詩エン・サガ
ベートーヴェン  交響曲第2番、第4番


インキネンが振る日本フィルをこれまで何度となく聴いているが、残念なことに「これだ!」という決定打の演奏に巡り会っていない。どれも非常に洗練されていて、よくまとまっているのだが、「ガツン!」というインパクトが無い。
なので、彼がバイロイトの新リングを振るというニュースを聞いた時、思わず「インキネンかよ・・」とこぼしてしまったくらいだ。

そんなインキネンが、日本フィルとベートーヴェン交響曲チクルスを進行させている。日本フィル首席指揮者の任期を来年までとし、その集大成にしようという目論見が透けて見える。
ならば聴いてみよう、インキネンのベートーヴェン

ちなみに、私がこうしたベートーヴェン交響曲チクルスの鑑賞に臨むにあたり、常に注目するのは、誰もが認める有名な奇数番号作品ではなく、偶数番号作品だ。これらは大抵のコンサートで、メインで演奏されるエロイカ、5番、7番などの前プロ、前菜として置かれる曲である。
こんなこと言っちゃなんだが、奇数番号交響曲は誰が振っても良い演奏になる。名演必然なのだ。なぜなら曲が超名作だから。
そういう意味において、この日の「2番、4番」というプログラムは、人によっては地味かもしれないが、私には殊のほか魅力的に映る。

さて、そのインキネンのベートーヴェンであるが、とっても良かったのである。最初に「決定打に出会っていない」と述べたが、もしかしたら「ついに決定打に出会った」かもしれない。

何が良かったかというと、仕掛けが非常に積極的かつ効果的だったのだ。王道のように構えてオーケストラに雄弁に語らせるのではなく、指揮者があの手この手を繰り出して細工する。テンポは目まぐるしく変容し、旋律の浮かび上がらせ方、響きの厚さまでも巧みに調節する。その結果、リズムは躍動し、音形は快活となって流れていく。

なんだよ、いいじゃないかよ、インキネン!
こういう演奏をシベリウスチクルスでもやってほしかったぜ。
(もっともシベリウスベートーヴェンじゃ、作品の音楽性が全然違うわけで、それを言っちゃお終いだけどな。)

インキネン、今年から始まるバイロイトリング、がんばってねー。評判がよかったら、来年以降、コロナが落ち着いてから行くよ~。