クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

新国立劇場の新シーズン

 新国立劇場の2013-14新シーズン公演ラインナップが発表された。毎年この時期の楽しみになっていて、劇場から送られてきた案内冊子を手に取ると、ワクワクドキドキ。
 期待しながら開封し、内容をしげしげと眺める。やがて手がわなわなと震え、苦笑し、ため息をつく。毎年これの繰り返し。オペラマニアの期待に沿うようなラインナップになるはずがないことくらい分かっている。分かっているのに毎年期待し、そして裏切られる(笑)。
 
フィガロカルメン蝶々夫人・・・。はぁぁぁ~。
 
私は子供のように夢を見る。夢想する。妄想する。
もし私が超大金持ちだったら。世界屈指の大富豪だったら・・・。
 
 有り余る巨額の私財を投入して財団法人を立ち上げ、歌劇場を建設し、オーナー兼総裁に就任する。全世界に向けた設立記者会見の場で、堂々ぶちまけるのだ。
 
「ワタシの歌劇場では、椿姫、カルメンフィガロの結婚、ボエーム、トスカ、セヴィリアの理髪師といった演目は上演しません。少なくとも私の目の黒いうちは。わりいけどね。なぜかって? あのさあ、皆さんこれまで散々飽きるくらいご覧になってきたでしょう。これからだって観る機会に事欠かないでしょう、いくらでも。いい加減にしましょうよ。」
 
「ワタシの歌劇場では、『素晴らしい作品なのになかなか上演の機会に恵まれない名作』にスポットを当てます。例えば、ヴェルディなら「シモン・ボッカネグラ」「エルナーニ」「シチリア島の晩鐘」、プッチーニなら「マノン・レスコー」「三部作」、R・シュトラウスなら「カプリッチョ」「ダフネ」など。その他にも愛の妙薬とルチア以外のドニゼッティ諸作品、セヴィリア以外のロッシーニ諸作品、ヤナーチェクブリテン、マスネ、プロコフィエフ・・・。これらの作品を積極果敢に採り上げ、作品を蘇らせて、それに相応しい正当な扱いを施します。そうすることで他の劇場との差別化を図り、世界から一目置かれる劇場を目指しますっ!!」
 
ああ、言いたいっ!! 言いたいっ!! くそー大富豪になりたい!!(笑)
 
そんな儚くも虚しい夢から現実に戻って、日本のオペラ界の悲しき現状を憂う。
 
やれやれ。演目はさておき、指揮者といい出演者といい、本当に小粒になっちまったよなあ。
強力な経済力をバックに、金の力で超一流アーティストを呼び寄せることなど、今や夢のまた夢なのだ。
 
まあ、でも仕方がない。ビッグネームでなくてもいいからさ、伸び盛りの若手を呼んでほしい。金の卵、ダイヤモンドの原石を見つけ出して紹介してほしい。今は無名でも、後々「そういえば、あの時、新国立で歌っていたね!」と言える人を。これまでだって、K・F・フォークト、E・ガランチャ、A・ハルテロスなどを発掘出来たではないか。才能を見つけ出すネットワークだけはキープしてほしいものである。
 
 演目について思わずため息を漏らしてしまったが、来シーズンは、死の都(新)、カヴァレリア&パリアッチ(新)、ヴォツェック、アラベッラなど、それほど悪くない。少なくとも、今シーズンよりはずっといい。
 特に、死の都は花マル期待大。この一演目だけで十分お釣りが来る。呆れた演目が並んだ今シーズンだって、開幕の「ピーター・グライムズ」の大成功で見事に元をとった。
 
 景気回復を。日本経済の復興を。ゆとりある生活を取り戻して芸術振興を。そうして、いつか新国立劇場の年間演目数が増え、更には自前のオーケストラを持てますように。
 
 そうなるまでの間、私の妄想は続く・・・。