指揮 エリアフ・インバル
四方恭子(ヴァイオリン)
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番
静かで安らかな音楽、軽やかで小気味良い音楽もそれぞれ味わいがあるが、こういうフルサイズの曲を全開で鳴らしてくれると、それだけで単純に感動する。これぞオーケストラの醍醐味である。
この‘オーケストラの醍醐味’である豪快なフォルテを引き出すインバルの手腕は本当に大したものだ。なんたってインバル自身が、音楽のエネルギー、充満するマグマそのもの。彼の力強くて熱いタクトに率いられれば、オケもつい100%以上の力を発揮してしまうということだろう。
そして、もう一つの影の立役者は、「余韻を楽しむため、また他のお客様の迷惑にならないように、拍手は指揮者のタクトが下ろされてから」というアナウンス。近年、心無い一部の客のせいでせっかくの公演が台無しになることが多い。このアナウンスの果たす役割は重要だ。特にブルックナーでは。