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2010/11/30 都響

2010年11月30日  東京都交響楽団  サントリーホール
四方恭子(ヴァイオリン)
モーツァルト  ヴァイオリン協奏曲第3番
 
 
 ブルックナーマーラーなどの編成の大きな交響曲管弦楽曲において、インバルほど豪快に鳴り響かせ、巨大な音響の渦に巻き込んでくれる指揮者はいないのではないだろうか。
 静かで安らかな音楽、軽やかで小気味良い音楽もそれぞれ味わいがあるが、こういうフルサイズの曲を全開で鳴らしてくれると、それだけで単純に感動する。これぞオーケストラの醍醐味である。
 
 この‘オーケストラの醍醐味’である豪快なフォルテを引き出すインバルの手腕は本当に大したものだ。なんたってインバル自身が、音楽のエネルギー、充満するマグマそのもの。彼の力強くて熱いタクトに率いられれば、オケもつい100%以上の力を発揮してしまうということだろう。
 
 この日のブルックナーもインバルパワー大炸裂。都響も見事にこれに応えた。それでいて、第2楽章では弦楽器のハッとするような静謐な響きも佇ませる。聴いているこちらも思わず「やるなあ」とニヤリ。
 
 
 感動的な上演を陰ながら演出したのは、サントリーホールの美しい残響。ブルックナーを聴くのなら、やっぱりここに限る。
 そして、もう一つの影の立役者は、「余韻を楽しむため、また他のお客様の迷惑にならないように、拍手は指揮者のタクトが下ろされてから」というアナウンス。近年、心無い一部の客のせいでせっかくの公演が台無しになることが多い。このアナウンスの果たす役割は重要だ。特にブルックナーでは。
 
 順序が逆になったが、一曲目のコンチェルトでは、都響のソロコンサートマスター四方さんが、派手さはなく真面目だけど心のこもった演奏を聞かせた。
 それにしても、インバルはブルックナーみたいな大きな曲ではその力をいかんなく発揮するのに、モーツァルトのような室内楽的な音楽になると、途端に影が薄くなるのが笑える。