クラシック、オペラの粋を極める!

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2012/11/6 バンベルク響

2012年11月6日  バンベルク交響楽団   サントリーホール
ピョートル・アンデルシェフスキ(ピアノ)
モーツァルト  ピアノ協奏曲第17番
ブルックナー  交響曲第4番ロマンティック
 
 
 もう、本当に信じられないくらい素晴らしいコンサートだった。奇跡的な演奏だった。
 
 なんか最近、「これでもか!」っていうくらい絶品公演が続いている。名演のオンパレードになっている。そんでもってちょっと「素晴らしい!」という言葉を連発し過ぎている。安売りっぽくないか!?「素晴らしい!」「奇跡的!」が軽々しい表現になってしまわないか心配だ。
 
 だが、この公演に関して言えば、断じて安売りではない!
 
 とにかく、どれくらい素晴らしかったかというと、私がこれまで多くのブロムシュテットのコンサートを聴いてきた中でダントツ最高ブッチギリ! 更にこれまで多くのブル4を聴いてきた中で第一位タイ!(もう一つの一位はザンデルリンクで、私の内なる声が『これを超してはいかん!』とストップをかけている(笑)。)
 
 私は、今後、「ブロムシュテット」という指揮者の名前を見たり聞いたりしたら、絶対にこの公演を思い出すだろう。彼の輝かしい業績の一例を示す公演、彼が偉大な指揮者であることを完璧に証明した公演として末永く記憶に刻まれることだろう。それくらい素晴らしかったのだ!
 
またまた大げさな表現になってしまうが、音楽の神様が降臨した。
しかも2回も!前半プロと後半プロそれぞれに!ほんとだって!
モーツァルトのP協がまず神懸かりだった。珠を転がすようなタッチ、幸福に満ち溢れた明るい音色、はっとするような弱音。これは正真正銘のモーツァルトだ。モーツァルトがアンデルジェフスキに乗り移ったのだ。
 
そして後半、今度はブルックナーが舞い降りて、ブロムシュテットに乗り移った。
私はP席で聞いていて、指揮者を正面から見据えていたのであるが、完全に後光が差していた。私は見えた、はっきりと!
 
 バンベルク響は、そんな神々に導かれて、実に柔らかで優しく慈しみを帯びた音楽を再現した。ハーモニーブレンド加減が絶妙で、どんな強奏であっても響きが固くならない。特に金管の美しさには痺れた。
 この音は、かつてライプツィヒ・ゲヴァントハウス管が持っていたドイツ伝統の響きに似ていると思った。ゲヴァントハウス管は、今やイタリア人によってインターナショナルで洗練された響きに変わってしまったが、伝統のサウンド、独自の響きを守り続けているオーケストラがここに存在した。それは本当に稀少な価値なのだ。
 
 そういった意味でも、やっぱり今回のコンサートは、例え安売り大盤振る舞いと言われようとも「奇跡的」と言わざるをえない。