クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

今年のクラシック音楽を振り返って

 今年のニュースは誰が何と言おうと大震災と原発事故に尽きると思うが、特に原発の影響で、クラシック界も大打撃を被った。震災から1か月はほとんどの公演が中止に追い込まれたし、その後も外来演奏家のキャンセル続出事件に見舞われた。改めて、クラシック界はいかに外来に頼っているかがよく分かった。
 
 スター歌手のドタキャンで、主催・招聘マネージメント会社は嵐のような苦情対応に追われたようだが、お気の毒だと思った。非難されるべきはドタキャンした連中だし、もっと言えば、原発事故が起きてしまった日本国民として、この現実を受け入れなければならない。一部の歌手に対して心ないブーイングが出たらしいが、私はやった奴の人間としての品位を疑う。彼らの来日が、躊躇と悩みと熟慮の果ての決断であったことに思いを馳せれば、感謝の拍手しかできないはずなのだが。
 
 このように悲惨とも言うべき一年だったにも関わらず、今思い返してみると、それでもなお素晴らしい公演の目白押しであったことは実に喜ばしい。記憶に残るような名演がいくつもあった。
 特に、秋から年末にかけて、ウィーン・フィルベルリン・フィルを筆頭として、パリ管、サンクト・ペテルブルグフィル、ベルリン放響などの外来オーケストラが繰り広げた煌きは毎回ため息の連続だった。
 
 特別な雰囲気と感慨があったメータ指揮N響、渾身の力で祈りを捧げた大野和士の壮絶なマーラー復活、その他スダーン&東響、デュトワN響、インバル&都響など、日本のオケとの絶妙コンビによる名演の数々も忘れられない。
 
 海外では、8月のザルツブルク音楽祭で、世界最高峰の音楽を連日のごとく満喫できたのも楽しかった。今、こうして書いていると、なんか例年以上に充実していたような気がする。
 
 
 原発事故の影響による来日キャンセルはおそらく来年も続くだろう。一流歌手の出演が予定されている東京・春・音楽祭なんか、きっと何人かはあぶないと思うね(笑)。
 だが、それはもう、仕方がない。この際、歌手やソリスト云々ではなく、演目そのものを味わい楽しむことにしようではないか。作品そのものの魅力の再発見。音楽ルネッサンスで行こう。
 
 日本の復興と共に、クラシック界も活況を取り戻せるように祈りましょう。
 
 それでは皆さまよいお年を。