クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2011/11/12 サンクト・ペテルブルクフィル

2011年11月12日  サンクト・ペテルブルクフィルハーモニー管弦楽団   文京シビックホール
指揮  ユーリ・テミルカーノフ
 
 
 名(迷?)指揮者ロリン・マゼールが東京交響楽団を振るために単身来日し、この日、川崎市内の某会場でコンサートが開かれたのだが、上記のサンクトペテルブルクフィルと見事にバッティング。「まいったなあ」と頭を抱えたコンサート猛者も少なからずいたのではなかろうか。
 
 悩んだ結果、文京シビックホールに足を運んだアナタ、「正解!」(笑)
 
 ちなみに私はこれっぽちも悩まなかったがな。サンクトペテルブルクに即断即決。
 
 今回の来日ツアーのプログラムはいくつかあったが、ラフマニノフの2番とチャイコの4番という、どちらがメインになってもおかしくないお腹いっぱいのプログラムはこの文京シビックのみ。サントリーホールではなくてこの文京シビックに駆けつけた人も結構多かったと思う。
 
 かつてムラヴィンスキーが君臨し睨みを利かせていた頃の旧レニングラードフィルのサウンドはとてつもなく凄かった。
 時代は変り、今や世界のトップオーケストラとして語られることはなくなったが、それでもパワフルなサウンドは依然として健在。
 まず、単純に音量がデカい。それから重心が低い。コントラバスの音がズンズンと迫る。そのコントラバスを舞台正面に向かって左奥に、金管楽器群を右奥に並ばせる配置も、サンクトペテルブルグフィルの伝統だ。
 
 ラフ2もチャイ4も両方とも甲乙つけ難く良かったが、よりテミルカーノフの個性が存分に発揮されていたのはチャイコの方ではなかったかと思う。ロシアンパワーを存分に打ち出しつつも、意表をつくテンポを随所に取り入れて、既に語り尽くされているかのような名曲を新鮮に蘇らせることに成功していた。
 
 それにしても、テミルカーノフの指揮にはいつも感心する。彼のタクトは非常に理路整然としていて、全く無駄がない。表情を変えず、肩に力を入れなくても、棒を持たない右手をサッと振るだけで、威力のあるフォルテが生まれる。まるで最小のコストで最大の効率を導き出し、最高の利益を生み出すカリスマ経営者のようである。いったいどこにその秘密があるのだろう?彼の指揮法は十分研究に値しそうだ。もし私が指揮者のタマゴだったら、師事を請うのは迷わずテミル教授。ロシアに行くぞ~。弟子を取っているのかは知らないが。
 
 最後に終演後のこと。
 感動の余韻に浸りつつ、お酒を酌み交わしながら感想を語り合うひと時は最高だ。この日も飯田橋にある行きつけの飲み屋さんに行って楽しく盛り上がっていたのだが、帰り際、突然悪寒が襲ってきて気分が悪くなり、せっかく胃に溜め込んだ栄養分を不覚にも神楽坂界隈の一角に撒き散らしてしまった。(えーん、ごめんなさい。)飲み過ぎでは決してなかったのに・・・。
 きっとロシアからやってきた冬将軍の猛烈なパワーに、体調がおかしくなってしまったに違いない。