クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2011/2/20 マリインスキー歌劇場

2011年2月20日  サンクトペテルブルク・マリインスキー歌劇場   NHKホール
演出  シャルル・ルボー
マリア・グレギーナ(トゥーランドット)、ウラディーミル・ガルージン(カラフ)、ヒブラ・ゲルズマーワ(リュー)、ユーリ・ヴォロビエフ(ティムール)   他
 
 
 本当は前週に上演されたシュトラウス影のない女を観たかったのだが・・・。もっと言うと、トロイア日本初演も行きたかったし、コンサート形式パルジファルも行きたかった。もし旅行がなくてこれらの公演に行けてたら、おそらくトゥーランドットは行かなかったと思う。例え、グレギーナとガルージンの黄金コンビであったとしても。
 
 これまで国内・海外合わせて決して少なくない回数でこのオペラを見に行っているが、なぜかあまり感動できたことがない。昨年ニューヨークで見たぶっ飛びゴージャスなゼッフィレッリ演出版が唯一の例外と言っていいくらい。スペクタクルだし、良い曲だとは思うのだが・・・なぜかは自分でもよく分からない。
 
 結論から言うと、この公演もそのうちの一つになってしまった。
 
 グレギーナがいつもの調子ではなかった。高音はなんとか力で押し切っていたがそれでも不安定だったし、中低音域は明らかに音になっていなかった。彼女のトゥーランドットはメトやバレンシアの映像を見ているので、本来ならどれほどすごいかは分かっている。プロ根性がある人なので、手を抜くことは考えられず、おそらく体調不良か調整の失敗だと思う。
 もう一人の大物ガルージン、こちらはいつものガルージンだったが、残念ながら私はもともとそれほど好きな歌手ではないので、あまり心に迫ってこない。
 リューのゲルズマーワは良かったと思うが、カルメンにおけるミカエラと同様、リューという役自体が‘労少なくて益多し’、なおかつお涙頂戴のおいしい役なので、そこを差し引くと「まあまあ」に落ち着くような気がしてならない。
 
 この日一番良かったのはゲルギエフ率いるマリインスキー劇場管弦楽団の演奏であった。ドラマのメリハリを作っていたのは、歌手でも演出でもなく明らかにオーケストラである。で、その次が合唱。まあ、この優れたオケと合唱を聴けただけでも良かったと自らを納得させました。
 
「それにしても、どうして私はこの曲で感動できないのだろう?」帰宅しながら私は思いを巡らした。
 考えた挙句の一つの結論として、このオペラの題材が持つ壮大なスケールと音楽の高揚に、たいていの上演において舞台上の体現技術が追いつかず、釣り合っていないのではないか、ということだ。かえって、映画の方が良い物が作れたりして?? いや、あくまでも一つの推測ですがね。