2011年1月12日 アリス・紗良・オット ピアノリサイタル 東京オペラシティホール
メンデルスゾーン 厳格な変奏曲
究極の癒し系ピアニスト。
いや、断っておくが別にビジュアルのことではないし、それに惹かれて公演に出掛けたわけではない。(ホントだってば)
5年前、まだ10代で無名の頃、チャイコのピアノ協奏曲を聴いたのだが(キエフ国立フィルハーモニーのソリスト)、若いのにしっかりしたピアニストだな、と感心した記憶がある。その後、順調に成長し、今ではドイツ・グラモフォンと専属契約を結んでアルバムを数枚出している。
この日もその成長の跡はしっかりと汲み取ることが出来た。音は尖らず、堅苦しくなく、柔らかくてみずみずしい。本当に疲れを癒してくれるような優しいピアノだ。鍵盤のタッチはあたかもマッサージのように心地良く、そのまま目を閉じて思わず居眠りしたくなる。(退屈ということでは決してありません(笑))
プログラムはどれも品があって良かったが、個人的にはワルトシュタインが気に入った。超絶技巧をひけらかさないアンコールのラ・カンパネッラもグッドで、この日一番の盛り上がりだった。
最初に「ビジュアルで選んだわけではない」と言ったが、それでもビジュアルが良いと何かと得だよな、とは思う。この日も、たくさんのファンが会場に詰め掛けた。終演後、お客さんが猛然と駆け足で列を作り、並び始めた。もちろんサインを貰うため。思わず唖然。横目で見つつ帰路に着きながら、「そういや、オレもその昔、仲道郁代さんのサイン貰うために並んだことがあったなあ」などと若気の至りを思い出し、少し恥ずかしくなりました(笑)。