クラシック、オペラの粋を極める!

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2010/9/24 都響

2010年9月24日  東京都交響楽団定期演奏会   サントリーホール
指揮  アレクサンドル・ドミトリエフ
セルゲイ・ハチャトゥリアン(ヴァイオリン)
シチェドリン  管弦楽のための協奏曲第1番(お茶目なチャストゥーシュカ)
ハチャトゥリアン  ヴァイオリン協奏曲
 
 
 ドミトリエフほど、見かけ(風貌やタクトの姿)と出てくる音楽が似ている人はいないのではないか。
 そもそも、公演チラシの写真の姿がそのまんま現物である。公演チラシの写真を見て指揮の仕方を想像すると実際そのまんまで、「きっとこういう音楽なのかな」と想像すると実際そのまんまである。そこら辺は申し訳ないが笑ってしまう。
 で、どういう音楽かというと、真面目で職人気質あふれる、手堅い演奏だ。試しに、写真を見てご覧なされ。ほら、イメージ膨らんでくるでしょ?(笑)
 
 プログラムのプロフィールを見ると、なんと、大巨匠ムラヴィンスキーの助手をしていたことがあるらしい。そりゃすごい。
 だが、大巨匠が威厳のかたまりであるのに比べ、ドミトリエフはどこか穏やかさを感じさせる。力が抜けている。わざわざ力を入れなくても、蓄積された経験をもっていとも簡単にコントロールできてしまうのだろう。まさしく職人の技だ。今は亡きイタリアの職人指揮者ガヴァッツェーニみたいだ(なんとなく顔も似ている)。
 
 そんなマエストロの仕事は、日本のオーケストラに合っていると思う。どこか日本人の気質にもあっているし、オーケストラは100%で応えてくれるから。スクロヴァチェフスキのように、もっと人気が出てもいいと思うのだが、おそらくドミトリエフは「人気なんかどうでもいい」と軽く受け流すに違いない。職人ですからね(笑)。
 
 この日のもう一人の主役、セルゲイ・ハチャトゥリアン。同郷同姓の作曲家によるヴァイオリン協奏曲は、もう何十回も演奏しているに違いないと思うが、まったくルーチンさを感じさせず、新鮮な音楽を提供してくれたのはさすが。いたずらに技術誇示に走らないのも好印象であった。ショパンコンクール優勝者が公演に招聘されるとショパンばっかり請われるように、ハチャトゥリアンも公演のたびにハチャトゥリアンの曲を請われると思うが、他の曲で勝負してもまったく問題ないでしょう。
 
もっとも、実は本人も、ちゃっかり同姓の偉大な作曲家のネームバリューに乗じている部分もあったりして。「あのハチャトゥリアンの親戚??」(実際は親戚でもなんでもない)と思わせるだけで効果バツグン・・・いや、単なる勘ぐりです(笑)。