さて本題、アルミンクのヴェル・レク。前半部は「ああ、やっぱりアルミンク」。奇をてらわない、余計な装飾を付けない、ウケを狙わない。機軸がはっきりしていて、ぶれることがない。先入観を取り払い、楽譜に書かれていることを素直に読み取ろうとする。
だがら、今回のヴェル・レクも、「鎮魂歌なのだから、むせび泣かなければならない」という既成概念が抜き取られる。残念なことに、こうしたアプローチに気が付かない一部の人から「つまらない、面白くない」と言われてしまうのであるが、それこそが彼の持ち味なのだと理解しなければならないだろう。
だがら、今回のヴェル・レクも、「鎮魂歌なのだから、むせび泣かなければならない」という既成概念が抜き取られる。残念なことに、こうしたアプローチに気が付かない一部の人から「つまらない、面白くない」と言われてしまうのであるが、それこそが彼の持ち味なのだと理解しなければならないだろう。
ところが今回、非常に興味深い現象が生じた。
さきほど「機軸がはっきりしていて、ぶれない」と書いたが、なんと、とある一人の奏者、たった一人のソリストの演奏に引っ張られ、後半に進むに連れて指揮者の機軸がぶれだしたのである。
そのソリストは、まさに異彩を放っていた。アクが強く、強烈なフェロモンを漂わせていた。明らかにアルミンクの音楽からは浮いていた。
そのお方こそ、「異分子だなんてとんでもない、アタシこそ本流よ!」と、ただ一人本場イタリアからやってきた歌姫ノルマ・ファンティーニ。
さきほど「機軸がはっきりしていて、ぶれない」と書いたが、なんと、とある一人の奏者、たった一人のソリストの演奏に引っ張られ、後半に進むに連れて指揮者の機軸がぶれだしたのである。
そのソリストは、まさに異彩を放っていた。アクが強く、強烈なフェロモンを漂わせていた。明らかにアルミンクの音楽からは浮いていた。
そのお方こそ、「異分子だなんてとんでもない、アタシこそ本流よ!」と、ただ一人本場イタリアからやってきた歌姫ノルマ・ファンティーニ。
アルミンク、彼女の圧倒的迫力と存在感にたじたじになって、ついにお姫様の従僕になりました(笑)。すると・・・みるみるうちにヴェルディの熱がこもってきたのである!
ファンティーニが手を前で組み、神に向けて「主よ、永遠の死から私をお救いください」と呟く。アルミンクも静かに目を閉じて静寂と安息の空間を創り出す。この普遍の作品を体験するたびに得られる、魂が揺さぶられる瞬間がまさしくそこにあった。
ファンティーニが手を前で組み、神に向けて「主よ、永遠の死から私をお救いください」と呟く。アルミンクも静かに目を閉じて静寂と安息の空間を創り出す。この普遍の作品を体験するたびに得られる、魂が揺さぶられる瞬間がまさしくそこにあった。
アルミンクさん、今回はこれで良かったのではないでしょうか??