クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2010/7/25 東京フィル

 

 プログラムのプロフィールによるとプラッソンは1933年生まれということで、77歳の御大だ。確かに舞台に登場してから指揮台までの歩みは遅い。バトンテクニックもかつてのような華麗さはない。しかし、両足をしっかり踏ん張りながら、時に体を大きく揺らしてオーケストラを引っ張る姿はマエストロそのものだ。
 
 その後ろ姿を見、音楽を聴きながら、何となく考える。
 ベートーヴェンブルックナーなどを得意とするドイツ系の大巨匠が、毅然として風格があってどこか頑なな爺さんが多いのに比べ、故ジャン・フルネといい、ブーレーズといい、そしてこのプラッソンといい、フランス人はどこか穏やかさと静けさがあり、身のこなしも洗練されているイメージだ。「ああゆうふうに年取れたらいいなあ」と思わせる佇まい。それでいて、音に対しては独特のこだわりを持っていて、鼻につくほどではないけどプライドが滲み出ている感じ。あくまでも印象ですけどね。
 
 さて、この日のプログラム。
 3曲に共通する感想として、プラッソンの音楽は尖ったものが消えて柔和である。テンポもゆったりしていて構えが大きい。
 プラッソンって、こんな感じだったっけ??もっとひねりがあったような気がしたが・・・。まあ、一言「円熟」という言葉で表してしまえばそれまでなのだが。
 全体として概ね満足しつつも、もう少し磁力が強くて惹き付けられるような物が欲しかったような気がした。
 
 だが、そんな物足りない気持ちは演奏後の爽やかなセレモニーできれいに吹っ飛んだ。観客がブラボーで指揮者を讃える。そこに東フィルの奏者たちも加わり、儀礼ではなく最大級の拍手をして引っ込んだマエストロを何度も指揮台に呼び戻す。感激したプラッソンはそんな奏者達に感謝の意を示し、同時に客席に向かって満足の笑みを浮かべながら答礼する。実に心温まる光景だった。
 二期会のオペラから続いた東フィルとのコラボもこの日が最後。終わりよければ全て良しってところでしょうか。