個人的に、勝手に、「将来のオペラ界を背負って立つ未来の巨匠指揮者」と決めつけている若手指揮者が4人いる。
うち、二人は実際に生で聴き、体験した。それぞれ二度ずつ。
ちょっと待て。
おいおい、「二人は生で聴いた」ってことは、あと二人は聴いてないわけ?聴いていないくせに、どうして「未来の巨匠」だなんて決めつけるわけ?どうして分かるわけ?
もう、全くそのとおりだ。反論できません。謝ります(笑)。
聴いていない指揮者二人については、現在活躍しているステージの場所と、あちこちから聞こえてくる評判を元に推測しているだけだ。
でも、何となく・・臭うのだ。長年のクラシックファン歴、オペラファン歴によるその勘は、あながち捨てたもんじゃない(と思ってます)。
4人の名を挙げよう。
1 フィリップ・ジョルダン(スイス)
2 キリル・ペトレンコ(ロシア)
3 ヤニク・ネゼ・セガン(カナダ)
4 アンドリス・ネルソンス(リトアニア)
1 フィリップ・ジョルダン
スイスの名指揮者アルミン・ジョルダンのご子息。バレンボイムの元で研鑽を積み、2009年シーズンから、パリ・オペラ座音楽監督の座を射止めた。
初めて彼を聴いたのは2003年9月グラーツ。グラーツ歌劇場のシーズン開幕公演プレミエ、パルジファルだった。
当時、彼のことは全く知らなかった。評判さえも聞こえていなかった。はっきり言って期待していなかったし、「どこの馬の骨だ」とさえ思った。だが、聴いてびっくりした。驚愕のパルジファルだった。若いのになんと自信と確信に満ち溢れていることか。しかも一分の隙さえもない。
「これは絶対に大物になる!!」
私がかつてこれまで、全く初めて聴いた指揮者で、一回聴いただけでこれほど太鼓判を押した指揮者は他にいない。誰も。ネバー。その後ドレスデンでも聴いたが、評価は変わらずだ。そしてパリ・オペラ座音楽監督へ。間違いない。突き進んでいる。
2 キリル・ペトレンコ
彼の場合は初めて聴く前に既に評判を聞いており、最初から期待をして聴いた。2008年9月アン・デア・ウィーン劇場でのR・シュトラウス、インテルメッツォ。シュトラウスのツボを見事に捉え、完全掌握していた。あたかもベテラン指揮者のような‘こなし’だった。
今や、世界のメジャー歌劇場にどんどん進出している。ティーレマン後のバイロイトの指環の指揮は彼だという噂だが、本当だろうか。
ということで、3のネゼ・セガンと4のネルソンスが聴いたことがなかった指揮者なわけだ。
ネゼ・セガンはザルツブルク音楽祭でのグノーのロメオとジュリエットで鮮烈な印象を与えたと聞く。
ネルソンスはバーミンガム市響の監督として活躍し、昨年小澤征爾の代役でウィーン国立歌劇場で蝶々夫人を振ってこちらも大成功したようだ。今年のバイロイトでローエングリンのプレミエを任されている。
さて、そのY・ネゼ・セガンと、A・ネルソンスを同じ時期同じ場所で一挙に体験できる機会を見つけた。
それこそがまさに-今回のニューヨークだったのだ!
私がニューヨークに行こうと思ったのは、ド派手なトゥーランドットだけが目的じゃない。ネゼ・セガンとネルソンズを直に見、聴いてくる。
カルメンがネゼ・セガン、トゥーランドットがネルソンスだ。
さてさて、実際どうだったのかについては、これからのレポートをどうかお待ちいただきたい。