指揮 フィリップ・ジョルダン
フィリップ・ジョルダン、日本初登場。
だからかどうかわからないが、お客さんの入りがすこぶる良かった。確かこの日は完売だったと聞く。
もちろんプログラムが非常に良かったというのもあるが、別の指揮者だったらこうならなかったかもしれない。
王道を歩み、着実にステップアップし、世界の頂点へ登り詰めようとしている輝かしいキャリアが、そうした雰囲気を醸し出しているのだろうか。
そんなジョルダンのタクトだから、音楽的にも強い求心力、勢いが感じられる。音のベクトルがはっきりしている。
ディティールにもしっかりこだわっており、表現の仕方には独特の特徴がある。
例えば、大きな身体を屈めてサッと音を弱く落とし、そこからググッとクレッシェンドをかけていくのを頻繁にやっていたが、これなんかこれまでに聴いたオペラやコンサートで何度も目の当たりにした彼の得意技だ。
個人的にはベートーヴェンよりもブラームスの方が好みに合った。ベートーヴェンは、これからますますウィーンとの結び付きが強くなるにつれ、もっともっと洗練してくるだろうし、鍛え上がることだろう。ウィーン響じゃなくてウィーン・フィルでベートーヴェンをやる機会も必ずあるだろうから。
楽しみにしましょう。
追記
「日本初登場」は謹んで訂正します。