2009年11月2日 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 サントリーホール
指揮 リッカルド・シャイー
メンデルスゾーン 交響曲第5番 宗教改革
ブルックナー 交響曲第4番 ロマンティック
2005年9月、私はシャイーのゲヴァントハウス管音楽監督(正式名称はカペルマイスター)就任(※)記念演奏会を聴くため、ライプツィヒを訪れた。
その時非常に驚き、感銘したのは、町のいたるところ(それこそ、あらゆる場所という場所)にシャイーのポスターが掲示され、幟旗が立てられていたのだ。そこには「Wilkommem!Chailly」(ようこそ!シャイー)の文字が踊っていた。
指揮者の音楽監督就任が町のトップニュースになり、町を挙げて歓迎する。
東京で、在京オーケストラ(どれでもいい)の音楽監督を知っている人など、ごくごく一部のファンを除き、まず皆無。これに対し、ライプツィヒでシャイーを知らない人は、きっとほとんどいないのだろう。さすがバッハやメンデルスゾーン、ワーグナーゆかりの街。その文化の成熟さには本当に感心したものだ。
※ 当時、シャイーはゲヴァントハウス管というより、ライプツィヒ市の音楽監督に就任したと記憶する。つまり歌劇場の音楽監督兼任だった。今はゲヴァントハウス管オンリーにしたようだ。
そのシャイーであるが、ゲヴァントハウス管の音色を鮮やかに変えた!そう、鮮やかになったのだ!
それまでのゲヴァントハウス管は、どちらかというといぶし銀の渋い音色だった。‘いぶし銀’と言えば何となく聞こえがいいが、悪く言っちゃえば「地味でくすんだ音色」だ。まあねえ、クルト・マズアの時代が長く、その後ブロムシュテッドだもんねえ・・・。
シャイーはここに明るさと華やかさを持ち込んだ。それでいて伝統の木目調の色合いはしっかり残っている。重厚さと機能美の両方を兼ね備えれば、鬼に金棒、向かうところ敵なしだ。ローカルからメジャーへ!ベルリンフィルやバイエルン放響もうかうかしていられないぞ!
この日、一曲目のメンデルスゾーンが実に名演。快活なテンポで突き進みつつ、しっかりと陰影も刻むシャイーの音楽づくりが素晴らしい。何となく耳に新しいと思ったら、通常とは違う版での演奏だったようで、それがまた実に新鮮だった。
メインのブルックナーも悪くなかったが、上記の印象からすると、別の日のマーラーはさぞや素晴らしかったでは、と推測する。両方行けば良かったかな、と、ちょっと後悔した。
それにしても、連日のごとく世界のオーケストラの饗宴を味わえる東京の素晴らしさよ!
明日はヤルヴィのシンシナティ響。