クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2009/9/22 ダッハウ

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 パリに別れを告げてミュンヘンへ飛行機で移動。

 この日はもともとミュンヘン市内にホテルを取り、オクトーバーフェスト・ビール祭りに繰り出して、リッタージョッキでビールをしこたま飲もうという予定の日だったが、相棒のキャンセルとともに市内入りを取り止めた。
 ミュンヘンのホテルはどこもフェスティバル料金で普段よりもかなり割高。こういう時こそ郊外だと思った。

 ということで、急遽行き先を変更して滞在した場所は、ミュンヘンの北西部約20キロの小さな町ダッハウ。空港からタクシーで直行した。(タクシーの運ちゃんの発音では『ダッカウ』だった。)
ここはナチスによるドイツで最初の強制収容所が作られた場所として有名だ。日本のガイドブックにもしっかり載っていて、歴史に関心のある人が結構訪れるらしい。

 ホテルに荷物を降ろし、強制収容所に行く前に、まずは市内観光。
 小さい町なので徒歩で十分。この町を訪れるほとんどの人は、強制収容所を訪れたら町を見ずにそのまま帰ってしまうようだが、緑豊かな田舎町、町を見下ろすことの出来る高台、こぢんまりとした旧市街、庭園を備えた静かな佇まいのダッハウ城など、ちゃんと見所もある。
 時間が余れば、テラスのカフェで一休みし、黄金の麦ジュースで喉を潤せばよい。

 以上の町歩きを十分に楽しんだ後、さていよいよ強制収容所、というところで、私はふとある事に気がつき、一瞬だが立ちすくんでしまった。

「ところでさ、強制収容所って、英語でもドイツ語でもいいが、何て言うんだ??」

 今回の旅は何とかなると思い、私はガイドブックの類を全く持っていかなかったのだ。

 そこは徒歩では遠く、一般的にバスの利用だ。だが施設の名前が分からなきゃ、バスにも乗れない、バスからも降りられない、人にも訊ねられない。これでは行こうにも行けないではないか??

 だが、すぐに現実的に納得。バスが出るダッハウ駅に行けば、どうせ案内表示があるだろう。ダッハウと言ったら強制収容所だ。訪れる人はみなそれを目的にしてダッハウにやってくるのだ。

 案の定、バス乗り場には「○○へは何番のバスに乗ってください。」という看板が立っていた。

 ちなみに強制収容所、ドイツ語で「KZ-Gedenkstatte」(statteのaには点々のウムラウトが付く)。

 さて問題です。英語で何て言うと思います?

答えは「Concentration Camp」=集中キャンプ。
 キャンプって響きが妙な違和感を与えますね。

 入り口の門、上記写真3枚目。ナチス強制収容所の門に必ず書いてあるこの文。
 「自由になりたきゃ働け」 ひどい文句だ。さんざん働かせた彼らへの報酬はいったいなんだったというのか。

 施設見学は無料。多くの人に歴史を直視してもらい、同じ過ちを決して繰り返さないための教育ということだろう。素晴らしい。

 施設内は広く、建物の中には展示品や資料の数々。定時にフィルムを上映しており、目を背けたくなるような残虐映像が心に突き刺さる。
 広大な敷地には見学用の囚人棟が二棟のみ、あとは形跡となっているが、それでもフィルムを見た後だけあって当時の恐ろしい情景が瞼に浮かび、現実と面影が交錯する。人間としての尊厳ある死に方が出来なかった人々の辛い生き様を偲び、心が締め付けられた。

 来て良かった。人はここに来るべきだ。何度もミュンヘンを訪れているのに、ここに来るのが遅かったくらいだと思った。