2026年3月19日 東京都交響楽団 サントリーホール
指揮 ピエタリ・インキネン
キット・アームストロング(ピアノ)
ラヴェル ラ・ヴァルス
サン・サーンス ピアノ協奏曲第4番
プロコフィエフ 交響曲第3番
インキネンと言えば、日本フィルの首席指揮者だった人だ。どうやら日本のクラシック界にその名を知らしめ、足固めを築くことが出来たようで、日本フィルを離れた後もこうして度々来日している。
今回、都響とは初顔合わせとのことだが、たった1日1公演だけの共演。「まさかこの1回だけのための来日ということはないよな?」と思い、調べてみたら、案の定というか直前にPAC管との公演があり、本公演の後には群響との公演がある。8月には紀尾井ホール室内管との公演も予定されている。
私なんかは、つい、なんとなく、クリスティアン・アルミンクやユベール・スダーンの日本でのお仕事を想起してしまうのであった。
いや、特に別に、変な心づもりや勘繰りはないですけど・・・。
もしかして、ジョナサン・ノットも、やがてそうなるのかなー、なんて思ったりして(笑)。
いや、全然いいですけど。
そんなインキネンだが、日フィル時代の私の印象としては、音楽的に洗練されていて、良く言えばスマート、クール。あけすけに言ってしまうと、少し離れたところからリモートコントロールするような淡白さをなんとなく感じていた。
そんな印象を、見事に覆してくれたのが本公演である。
その前に、まずコンチェルトのソロを務めたK・アームストロングを褒め讃えよう。
なんて上手いピアニストだ!と思った。
技術的に上手いのはもちろんだが、作品をしっかりと捉え、「この曲をこのように演奏したい」という完成形が頭の中にあって、それをきっちりと弾き、音にして鳴らしているのが素晴らしい。
更には、演奏するのが楽しくてしようがない、オーケストラとの共演も楽しくて仕方がない、という喜びに溢れている。だとしたら、その喜びは間違いなく聴衆に伝わるのである。
サポートしていたインキネンは、ソリストにはほとんど構わず、オーケストラのリードにひたすら注力していた感じだったが、もしかしたらインキネンからすると、アームストロングの演奏を聴き、「あ、これならソリストに対するサポートは一切不要で、お任せで大丈夫」という判断が働いたのかもしれない。
メインのプロコ3番は、上記のとおり、インキネンのこれまでのイメージを一新させるかのような熱い、渾身の演奏だった。猛烈なタクトでオーケストラを煽った。
まあ分かる。だってそういう作品だからね。この曲を少し離れたところからリモートコントロールするなんて、そんなの絶対無理っしょ。
ちなみに、私はこの曲が大好き。狂おしいくらいに好き。
マイナー作品かもしれないが、ご存じの方もいらっしゃろう、歌劇「炎の天使」のモチーフや旋律・抜粋を転載する形で1つの交響曲にまとめたもの。交響曲というより、「炎の天使」による交響的幻想曲、もしくは交響的断章、みたいな作品である。要するに私は「炎の天使」というオペラ作品が大好きというわけさ。
説によると、オペラ作品「炎の天使」は上演困難とされ、プロコフィエフはひどく落胆。このまま埋もれてしまうことを危惧し、だったらいっそのこと交響曲として作り変えてしまえば、演奏の機会は格段に増えるだろうという思惑で完成させたらしい。
残念ながら、せっかく交響曲に仕立て上げても、作曲家の思惑どおりには至ってないのが現状だが・・・大丈夫ですプロコ先生、この作品の偉大さは分かる人には分かります。どうかご安心ください。
何の慰めにもならんが・・・。
なかなか演奏されない曲だが、なんと嬉しいことに、また5月に沖澤&京都市響が演奏してくれる。
京都に行くぞ~、おりゃー!